ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

問われるモラル・ハザード

2021-02-22 14:24:05 | 日記
けさの朝刊で次のニュースを見たとき、私の身体は怒りでわなわなと震えた。

「エルメスには『贈答品費』、高級和牛店には『土産代』を支出――。閣僚らの2019年の政治資金収支報告書を調べたところ、こういった名目で様々な贈り物が政治活動費として計上されていた。支出が100万円を超えたのは4人。政治資金規正法では、収支報告書に贈り先などを記載する必要がないため、専門家は『適正な支出かどうかチェックできない』と指摘している。」
(朝日新聞2月22日)

なにぃ〜ッ、政治活動費といえば、元は税金じゃないか。国民の血税で高級ブランドのエルメスや高級和牛を買うなんて、政府の閣僚どもは一体何を考えているのだ!政治資金規正法に違反しなくても、こんなイカサマ連中はすぐにでも首に縄をかけ、市中引き回しの刑に処すべきではないのか。

つい先日のラウンジ白須賀議員のトンデモな一件といい、最近の議員どもの野放図な行動には、あいた口がふさがらない。国民には自粛だ、時短だと窮屈な思いをさせておきながら、自分たちは一体、何様のつもりなのだ!

統治する側のペテン師どもの、そのモラルの欠如は目に余るものがあるが、モラル・ハザードはなにも議員だけではない。高級官僚と呼ばれるエリート連中も同断である。
次のニュースを聞いたときも、私の身体は怒りでわなわなと震えた。

「利害関係者からの供応接待や金品の授受は国家公務員倫理法に抵触する疑いが濃厚で、総務省が調査に乗り出している。
総務省の局長は、接待の場で衛星放送など東北新社の業務に関する話題が出たことを国会答弁で再三否定してきたが、これが虚偽答弁にあたる可能性が高いことが、当日の音声記録からわかった。
衛星放送などの許認可にかかわる総務省情報流通行政局のトップ、秋本芳徳局長は、国会で接待の場について、あくまで『本人または両親が東北出身者の懇親会』と答弁。東北新社の事業や、衛星放送などについてその場で話題にのぼったかを再三問われ、『東北新社様の事業について話題に上がった記憶はございません』(2月10日衆院予算委)、『衛星放送やスターチャンネル(東北新社の子会社が運営)について、話題になった記憶はございません』(2月12日衆院予算委)と答弁していた。」
(文春オンライン)

ったく、もう!学生時代は秀才で鳴らした現役の高級官僚が「記憶はございません」だと!もっともらしくボケ老人のふりなんかして、ボケ老人に失礼だとは思わないのか。

ところで、この高級官僚と、件(くだん)のエルメス・高級和牛閣僚とでは、どちらが罪深いのだろうか。その一人、西村経済再生相の場合は、「(自分の選挙区である)兵庫県南あわじ市の農業法人から19年7月、約111万3千円分を購入。ブランド牛『淡路ビーフ』の専門店からも計5回、67万円分を購入した」という(朝日新聞)。閣僚としてコロナ対策を仕切る大臣の地位とはいえ、議員であるからには「当選してナンボ」の身の上である。西村大臣は、公金である選挙対策費を、文字通り選挙対策のために使ったのだろう。

こうした点を考慮すれば、西村大臣の場合は政治資金規制法の趣旨に合致した「適正な支出」であると言え、(新聞ででかでかと騒ぎ立てるほど)悪質なケースではないと言えるだろう。

だが、仮にそうではなく、その使途が政治資金規制法に違反する悪質な場合には、どうなのか。その場合には、イカサマ議員のほうが、ボケたふり高級官僚どもよりも罪は重いように見えるが、さて、どうなのだろう。
私には、イカサマ議員よりも、「記憶にございません」のボケたふり高級官僚のほうが、罪は重いように思えるのである。

私の頭にあるのは、ユダヤ人思想家ハンナ・アーレントの著書『エルサレムのアイヒマンーー悪の陳腐さについての報告』である。それによれば、ホロコースト(大量虐殺)の中心人物・アイヒマンは、上司の命令に従順・忠実なだけの小物であり、確たる思想の持ち主ではなかった。そういうありふれた陳腐な小物だったからこそ、彼はユダヤ人の大量虐殺という大罪に手を染めることになったのである。

私にはハンナ・アーレントが見たアイヒマンの姿に、総務省・秋元局長の姿がダブって見える。秋元局長も、上司の命令を従順に聞き入れるしかなかったのではないか。なにしろ元締めの上司・スガ総理は、「オレに逆らった奴はとばすぞ」の脅し文句を振りかざし、官僚を震え上がらせたことで有名な強面(こわもて)の人物である。このトランプもどきの強面元締めの命令を唯々諾々と聞き入れ、横暴な元締めの専横を許した罪は決して軽くはない。

彼は従順・忠実の代償に、より上位のポストをあてがわれるだろうが、元締めが企てた(親子ぐるみの)犯罪を、彼は肩代わりしたと言わなければならない。言ってみれば、共犯である。ったく、もう!
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