ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

オウムの死刑執行と安倍政権

2018-07-16 17:28:58 | 日記
ネットで酷い記事を見た。サイト「PRESIDENT Online」に掲載された《オウ
ム大量死刑を生んだ"安倍1強"の怖さ》と題された記事(7月15日配信)で
ある。タイトルから察しが付くように、この記事は 安倍政権に対する批判
を旨としている。だが、「為にする」批判の色合いが強く、後味がはなはだ
良くない。安倍首相のシンパでない私でも、反吐が出そうな後味の悪さなの
である。

論より証拠。百聞は一見に如かず。そのまま記事を引用することから始めよ
う。こんな具合である。
「オウム真理教による一連の事件で殺人などの罪に問われ、死刑が確定した
63歳の松本智津夫死刑囚(麻原彰晃)ら7人の刑が7月6日、東京拘置所など
全国の拘置所で執行された。一斉死刑執行の数の多さは、1911(明治44)年
に社会主義者の幸徳秋水ら12人が処刑された大逆事件以来のことである。」

大逆事件、別名幸徳事件と聞いて、好い印象をいだく人はおそらく一人もい
ないだろう。天皇の暗殺を企てたこの事件には、暗くおどろおどろしい前近
代のイメージがつきまとっている。これに12名の処刑をもって臨んだ明治
政府の対処にも、同様の暗黒のイメージがつきまとう。

問題のこの記事は、上記のような書き方をすることによって、オウムの7人
を死刑にした安倍政権に、同様の(暗くおどろおどろしい)イメージを植え
つけようとしている。

イメージ操作はそれだけではない。著者は次のように書き継いでいる。
「ここで沙鴎一歩(著者の筆名)が気がかりなのは、死刑執行を翌朝に控え
た7月5日夜、9月の総裁選を盛り上げるための自民党議員らの宴会で、上川
法相と安倍晋三首相が笑顔で料理とお酒を楽しんでいたことである。彼らの
人間性を疑いたくなる。」

この箇所を読んで、私は2つの記事を思い出した。一つは、アンチ安倍サイト
「日刊ゲンダイDIJITAL」に掲載された《安倍首相と法相が オウム死刑執行
前夜の“乾杯”に批判噴出》(7月7日配信)であり、もう一つは、これも
アンチ安倍サイトの「リテラ」に掲載された《安倍首相の豪雨対策そっちのけ
自民飲み会参加に非難轟々! 一緒に大はしゃぎの安倍側近は言い訳のため
デマ拡散》(7月9日配信)である。ネット上に流布したこのような安倍批
判ネタを、著者の「沙鴎一歩」氏は、執拗にも、安倍批判のために再利用し
ているのである。氏がとくに典拠を断ることもなく、「死刑執行前夜の宴会」
に言及しているのは、あるいは氏自身が こうした批判ネタの流布拡散に(何
らかの形で)コミットしているからなのかも知れない。

「罪を着せる」という言い方があるが、この記事は あからさまな2つの印象
操作によって、安倍政権に悪いイメージの衣を着せ、断罪しようとするもので
ある。この記事が布告する以下の判決文をご覧いただきたい。
「『安倍1強』。強い政治権力を握ると、死刑囚とはいえ7人もの人間に対し
て一斉に死刑執行ができる。言い換えれば安倍1強が今回の一斉死刑を生ん
だわけである。背筋がゾッとする。」
こういう文章を目にすると、背筋がゾッとする。穴だらけなのだ。この文章
の筆者は、「できる」と「する」の間にある(「言い換えれば」などでは埋
まらない)決定的な相違をご存知ないらしい。「できる」から「する」に移
行するには、決定的な跳躍が必要だということを、ご存知ないらしい。

いや、この記事の筆者は、そのことをよくご存知なのかも知れない。知って
いるから、「できる」と「する」の間の溝を埋めるために、悪いイメージの
衣を援用することで、状況証拠を捏造する必要があると考えたのだろう。

濡れ衣を着せようとするそのやり口が、私には気に食わない。ーーま、安倍
首相のシンパでない私には、アンチ安倍の戯言なんて、どうでもいいんだけ
れどね。
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