ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

米朝交渉 round 1

2018-07-08 14:08:47 | 日記
ポンペオ米国務長官が訪朝して2日が経つ。会談の相手は金英哲(キム・ヨ
ンチョル)朝鮮労働党副委員長。この米朝高官協議のメイン・テーマは、言
わずと知れた北朝鮮の「完全非核化」である。このほど、その成り行きを窺
わせる報道があった。(本ブログが依拠するこの報道は、7月8日付で配信
された、毎日新聞ネット版のニュースである。)正確を期するため、その全
文を引用するが、それではかえって退屈する読者もいるだろうから、全文を
内容ごとにいくつかに区切り、そのつどコメントを加える形で紹介すること
にしよう。

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ポンペオ米国務長官は7日、2日間にわたる北朝鮮の金英哲(キム・ヨン
チョル)朝鮮労働党副委員長との協議を終えた。ポンペオ氏は協議後、記者
団に「大きく進展した部分とさらなる取り組みが必要な部分がある」と述べ
た。しかし、北朝鮮の外務省報道官はポンペオ氏の出発後、今回の協議につ
いて「米国側の態度と立場は実に残念極まりない」と批判し、非核化につい
ても「意思が揺らぎかねない危険な局面だ」と主張する談話を発表した。


北朝鮮がこのように不満たらたら、激しく反発するのは、今回の会談で北朝
鮮が劣勢に立たされたことを物語っている。「そんなことなら、非核化の協
議はチャラにするけど、いいんだな!」と、ケツをまくるポーズを見せるの
は、いつもの北のやり口である。

談話は米国側が今回の協議で「米朝首脳会談の精神に反して、CVID(完
全かつ検証可能で不可逆的な非核化)だ、申告だ、検証だ、などと一方的で
強圧的な非核化要求だけを持ち出した」と非難。「朝鮮半島の平和体制構築
の問題については一切言及せず、(朝鮮戦争の)終戦宣言問題は後回しにす
る立場を取った」と不満を表した。


この談話は、ポンペオ長官がCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核
化)の実施を「強圧的に」(=激しく)迫ったことを示している。北朝鮮側
は、これに対して、「朝鮮半島の平和体制を構築することが先決だ」と主張
したのだろう。

ただ一方で、「我々はまだトランプ大統領に対する信頼心をまだそのまま維
持している」とも表明。協議の際、金副委員長がポンペオ氏に金正恩(キム・
ジョンウン)朝鮮労働党委員長がトランプ氏に宛てた親書の内容を伝えたこ
とも明らかにした。ポンペオ氏は過去2回の訪朝時、いずれも金委員長と会
談したが、今回は実現しなかった。


北朝鮮は、米との協議を「チャラにするぞ!」と息巻きながらも、反面では、
トランプ大統領との直接交渉に望みをつなぐ姿勢を隠さない。焼きが回った
この老熟大統領なら、「検証可能な形で非核化を実施せよ!」などと、うる
さいことは言わないだろうと見越しているのである。

ポンペオ氏は記者団に協議の成果として「今後の実務レベルでの協議の道筋
についても合意した」と述べ、「非核化の検証」を含む核心的事項に関する
複数の作業部会の設置が決まったことも明かしていた。しかし、北朝鮮外務
省の談話は、これについても「双方の首脳級で合意した新しい方式から、実
務家級に任せる古い方式に戻すならば、歴史的なシンガポールでの首脳会談
は無意味になる」と作業部会方式への不満も示した。
米国側はソン・キム駐フィリピン米大使がトップを務める作業部会で、非核
化に向けた具体的な手順について議論するつもりだったとみられる。しかし、
北朝鮮側の反発で協議が加速するかは未知数となった。


今回の協議で、検証可能な非核化の実施へと向けた実務レベルの作業部会が
設置されることが決まったが、これは北が無理やり飲まされたもので、納得
づくではなかったことが分かる。そのため、今後作業部会で行われる実務レ
ベルの協議は、まだ一波乱も二波乱もありそうな成り行きなのである。実務
レベルの協議という「古い方式」ではなく、トランプーキムによるトップ同
士の直接会談という「新しい方式」に望みを託す北朝鮮は、劣勢を挽回すべ
く、次にどういう手を打ってくるのか。

いやー、米朝劇場はなかなか目が離せませんなあ。
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