ささやんの週刊X曜日

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

川崎殺傷犯「一人で死ね」論から

2019-06-02 11:55:52 | 日記
いつものようにベッドに横になり、眠くなるまでの間、スマホで「ネットの森の散歩」をした。「スマートニュース」、「ニュースパス」などが主な立ち寄り先である。最近はおもしろい!と感じるニュースが少なくなった。爺の感受能力が鈍った所為だろう。その所為か、ブログのほうも最近はネタ切れ気味である。ニュース・サイトをあちこちさまよったが、私の興味を引いたのは、結局「リテラ」掲載の2つの記事だけだった。

《福島原発事故“風評被害対策”で「電通」に240億円! ママインフルエンサーのステマ、開沼博や早野龍伍、TOKIO起用も》

電通が復興庁に送った実施PR事業の報告資料「平成30年度 放射線等に関する情報発信事業」には、〈有識者・専門家・ママインフルエンサーによる座談会〉という企画が収録されている。これは、2019年2月に三菱総合研究所で開催された座談会で、「ママインフルエンサー」なる女性らが参加している。

「ママインフルエンサー」は5名で、「合計フォロワー数」が45975人だという。彼女たちを原発促進派に取り込めば、約5万人のフォロワーに宣伝効果があると見込んでのことだろう。ゼロ・インフルエンサーの爺にしてみれば別世界の出来事だが、この宣伝事業に協力した「ママインフルエンサー」たちが、その後どういう記事を書いたのか、興味が湧かないでもない。

《川崎殺傷事件「一人で死ね」論に警鐘を鳴らす藤田孝典に、古舘伊知郎、ニッチェ江上も賛同! 包摂こそが犯罪を阻止する》

川崎市で小学生ら19人が殺傷された事件をめぐり、メディアには、「自殺に他人を巻き込むな」「死にたいなら一人で死ね」という言葉が飛び交っている。こうした現象を「愚劣な感情論の横行」と捉える「リテラ」の記者は、これに「警鐘を鳴らす論考」として、生活困窮者支援NPO「ほっとプラス」代表理事である藤田孝典氏の以下のような見解を紹介している。

〈「死にたいなら人を巻き込まずに自分だけで死ぬべき」「死ぬなら迷惑かけずに死ね」というメッセージを受け取った犯人と同様の想いを持つ人物は、これらの言葉から何を受け取るだろうか。
 やはり社会は何もしてくれないし、自分を責め続けるだけなのだろう、という想いを募らせるかもしれない。
 その主張がいかに理不尽で一方的な理由であれ、そう思ってしまう人々の一部が凶行に及ぶことを阻止しなければならない。
 そのためにも、社会はあなたを大事にしているし、何かができるかもしれない。社会はあなたの命を軽視していないし、死んでほしいと思っている人間など1人もいない、という強いメッセージを発していくべき時だと思う〉

この藤田氏の見解に対して、私はつよい違和感を持った。社会に対して憎悪を募らせるヒッキーに対して、藤田氏のメッセージはどんな意味を持つのか。
「こんな社会、ぶっ壊してやる!」と憤るヒッキーが思い描く〈社会〉(「社会1」)と、「社会はあなたを大事にしている」と語る博愛主義者の思い描く〈社会〉(「社会2」)は、残念なことに同じものではない。だから「社会2」の存在を訴えたところで、この訴えは彼の心に刺さることはないだろう。

小学生の殺傷を企てるヒッキーがいたら、私はこう言ってやりたい。
「たとえ小学生を100人殺しても、200人殺しても、社会はびくともしないんだぜ。むしろ、社会はますます手強く、厳しくなるだけなんだぜ。それがわかっているから、あんたは事の後で自殺するつもりなのだろうが、死ねば良いというものじゃない。そんな負け戦はアホらしくて、愚かすぎて、とてもかっこ悪いぜ!」
コメント
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