ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

ゴーンの闇を覗く

2018-11-22 11:45:26 | 日記
日産自動車のカルロス・ゴーン会長が、金融商品取引法違反の疑いで東京地検
特捜部に逮捕された。2011年からの計5年間、その役員報酬額が実際には
99億8000万円だったのに、計49億8700万円と虚偽の記載をしていたとい
う。よく分からないが、どうせ脱税が目的だろう。私はそう思った。

テレビのニュース番組で、夕方、このニュースを耳にしたとき、私の心に怒り
がこみ上げてきた。「この業突張りめが!おまえはどれだけ我利我利亡者なの
だ!」
ゴーンといえば、日産自動車の社長兼COOの職に就き、年間10億円もの報酬を
もらう人物として話題になったのを憶えている。10億円もの報酬をもらってい
るのに、これでもまだ足りないというのか。この男はカネに目がくらみ、カネ
に踊らされた哀れな男なのだろう、きっと。欲の奴隷になるとは正にこのこと
ではないか。

その後、日産が、ゴーン氏の会長職と代表取締役を解任すると発表した。日産
によると、ゴーン容疑者は会社の資金を私的に流用するなど、複数の重大な不
正行為を犯していたことが確認されたという。

このニュースを聞いて、私は、なんとまあ手回しの良いことなのだろうと思っ
た。おそらく日産の上層部は、この事実をずっと前から知っていて、発表の機
会を窺っていたに違いない。ゴーンのゴーマンな我が物顔のふるまいを、つね
づね苦々しく思っていた上層部の一部が、このワンマン会長を追い落とす機会
を虎視眈々と狙っていたのだろう。

翌朝(つまり、けさ)の新聞報道は、私の推測の正しさを裏打ちしてくれるも
のだった。記事によれば、日産は検察当局に情報を提供し、捜査に全面的に協
力してきた。引き続き捜査に協力する姿勢だという。要するに、日産の上層部
は、東京地検と司法取引を行ったのだ。朝日新聞は次のように報じている。

関係者によると、ゴーン会長に対する捜査をめぐっては、捜査に協力する見返
りに刑事処分を軽減する司法取引制度が適用された。同社の社員がゴーン会長
の不正について捜査に協力したとみられる。

報道からすれば、ゴーン会長の不正は、「内部告発」によって明るみに出たよ
うだが、この「内部告発」の内実は「社内の敵対勢力による告発」ということ
だろう。俄然興味が湧いてきた。

けさの私の頭は、「ゴーン事件」のことで一杯だった。思考が停止状態におち
いったのは、事件の刺激が強すぎたせいだ。思考が停止したまま、日課の朝の
散歩ーーネットの森の散策ーーを始め、サイト「現代ビジネス」の記事《日産
社内で囁かれる「ゴーン逮捕の深層」・・・ルノーとの間に生じていた「歪み」
とは》を読んだ。

この記事を読んで、私が疑問に思ったのは、ゴーン氏はなぜ虚偽記載をしたの
か、ということだった。この記事の著者・井上久男氏によれば、虚偽記載がバ
レなかったとしても、ゴーン氏の報酬は源泉徴収されているので、彼にはまっ
たく「実利」がない。それなのに、なぜ彼は虚偽記載したのか。

井上氏によれば、ゴーン氏は「もらい過ぎだ!」との批判を気にして、報酬を
少なく見せようとし、そのために虚偽記載したのではないかという。
虚偽記載の罪は、だから悪質なものではないと井上氏は言う。むしろ会社の金
の私的流用のほうが悪質な不正だと言う。(以下、続く)
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ゴーンの闇に見る 企業と国家の関係

2018-11-22 11:43:13 | 日記
う〜む、よく解らない。「有価証券報告書の虚偽記載」なるものは、どれだけ
の大罪なのか。金融や投資に詳しい知人に訊いてみた。金融商品を買おうとし
て、その会社に投資をするかどうかを判断する場合、たしかに有価証券報告書
は入念にチェックするが、その場合、役員報酬がどうかなんて、ほとんど問題
にしないという。

今を時めくゴーン氏の場合、この行為の動機は、それほど悪質なものではない
と思われる。ゴーン氏は「(報酬を)もらい過ぎだ!」との批判を気にして、
報酬を少なく見せようとしただけではないのか、という井上氏の見解は、私か
らすれば、それなりの説得力を持っている。

動機に悪質性がなく、しかもこの行為は投資家に多大の損害を与えるものでは
ないとしたら、ーーつまり、たかだか微罪程度のものだとしたら、ゴーン氏の
行為に、それほど目くじらを立てる必要があるのだろうか。

素人の目からすれば、今回の一件は、脱税の容疑で起訴するのが筋ではないか
という気がする。だがそうなると、捜査は国税庁が行うことになり、この一件
は地検特捜部の手を離れてしまう。特捜部には、きっとこの事件を手放したく
ない事情があったのだろう。やはりこれは「国策捜査」なのだ。

国家の意思まで射程に入れると、ここに1つのはっきりした構図が浮かびあがっ
てくる。「ルノーと日産との企業統合をめざす仏政府」VS.「ルノーと日産と
の企業統合を阻止しようとする日本政府」という構図である。
日本企業である日産の社益は日本の国益につながり、仏企業であるルノーの社
益はフランスの国益につながる。こうして、社益と社益との衝突は、国益と国
益との衝突に転化し、国家間の紛争にまで発展しかねない。

日・仏二企業間の統合は、国境の垣根を低くし、国家間協調の動向に資するの
ではないか。ーー前回のブログの最後に、私はそういう趣旨のことを書いたが、
どうやらそう うまくは行かないようだ。
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