
ロシアがウクライナへの侵攻を開始したのは2022年2月24日。もうすぐ1年が経とうとしているのに、この侵攻は終わる事なく、ニュースでは「3月に向けてさらに大きな戦闘が・・」というような事を言っている。侵攻開始から1年。プーチンとしては、何があっても霞むことのない大きな成果が必要という事なのだろう。
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大きな戦争はもう歴史の教科書の中にしかないと単純に思っていた私にとって、このような大きな戦争が起こり、それが1年もの間続き、更に終わりが見えないというのは正直に驚きでしかない。
新聞に記事が掲載されていれば目を通すようにはしていても、日々のあれこれに流され、事の詳細は段々と忘れてしまう。結局今どうなっているか?をニュース報道で確認するだけだ。
そんな中で、こんな風に時系列に今回の出来事を確認出来るのは有難い事だ。
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第2章の開戦前夜(2021年9月~2022年2月21日)の章が印象に残る。
侵攻後すぐにキーウが陥落せず、ロシア軍がてこずっている事に関して「ロシア側の準備が不十分だった」という点に焦点があてられた報道があった事もあり、どの程度の準備がどの程度の期間を経て行われていたのかは今一つ理解できていなかったのだ。更に侵攻の時期が近づいて来るにつれ、毎日のように「ウクライナ侵攻まであと何日もない」と毎日のようにカウントダウンの報道がされるのも、当時の私には理解し難い事だった。「(今回は)もしかしたら、脅すだけで本当に侵攻するつもりはないかもしれない。それなのに毎日のように『もうすぐ、もうすぐ』などと煽るように報道したら、本当に侵攻するのではないのか?」とかなり本気で考えていた。
今考えると大変恥ずかしい。侵攻後、開戦までの流れについてニュース報道でも説明がなされたとは思うのだが、侵攻後は目の前の被害にばかり目が行ってしまった。
少し時間をおいて、このように侵攻までの事を時系列に確認できるのは理解の助けになる。秘密裡に開戦準備を行う事は不可能であり、準備が着々と進められている事を刻々と確認する事が出来ながらも、結局食い止める手立てがなかったという重い現実。これは他人事でなく、これからも身近で起こりうる事だと実感する。
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おわりにまとめられていることも、私には色々驚きだった。
『ハイテク技術が活用されていてもこの戦争は「古い戦争」であり、戦争の趨勢に大きな影響を及ぼしたのは、侵攻に対するウクライナ国民の抗戦意志や兵力の動員能力だった』
「古い戦争」は歴史の教科書の中にだけあるものだと思っていた。「古い戦争」が抑止力の議論の中でも重要な論点になるなど思いも及ばなかったからだ。