行き来の無かった親族が亡くなった事で思いがけない相続をした女性だが、突然腹違いの弟が出現し、自分にも相続の権利があると言い出した事で彼女の周りには怪しい出来事が次々と起こるというなんともおどろおどろしいミステリー。
暗い夜のシーンが多く、数少ない昼間のシーンも明るい光は殆どなくどこか鬱屈した雰囲気が漂うシーンがこれでもかと言うほど続く。
仲違いをしていたとしても、それでも法事等で集まる事が多い韓国社会で、行き来がない親族が突然現れる事だけでも、不吉でそこはかとない寂しさが漂い、その後に続く恐ろしい事が想像される。
思いがけない相続から理由の分からない不可解な出来事が身の回りで起こるようになる女性を演じるのはキム・ヒョンジュ。綺麗なのにどこか幸薄い雰囲気が漂う役柄がピッタリの彼女。その彼女が縁遠かった親族が隠し続ける秘密に近づいていく様がなんとも暗く、鈍痛が次第に大きな痛みになっていく様がなんともピッタリだ。
一族という概念が日本よりも強い韓国。そこに血の繋がりの謎が加わり、どこで折り合いをつければいいのか出口のない重い話が続く。
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2時間半ほどの映画の方がこの題材にあっているのではないかと思うのだが、暗い場面も躊躇する事なく、ドラマにしてじっくりと描こうとしているようだ。
避ける事の出来ない悪縁、血を呼ぶ欲望・・・韓国バージョンのポスターのコメントも怖い。