仕事で行き詰まりを感じる30代の女性。恋人もいるが上手くいっていないのだが、両親は条件のいい彼との結婚を望んでいる。
そんな中、親友の弟が海外から帰国。実の弟のようにかわいがっていた彼との久しぶりの再会によって、どんよりしていたはずの彼女の生活はあっという間に楽しいものになっていくのだ。
親の代わりに弟を育てた親友の存在が気になるものの、自分の事を大事にしてくれる親友の弟の事を自分も大事に思いだす彼女。
擬似姉弟だったはずの二人の関係が段々と違う形になっていく様子や、彼が仕事で行き詰る彼女をさりげなく応援しサポートしていく姿。各種しがらみはあっても、まず彼女の事を一番に考え、そして二人の関係を大事にしていこうとする、若い男性ならではのまっすぐな気持ちは非常に清々しい。
ただ、後半、女性が勤務する会社で起こる各種トラブルが描かれた部分は、現実的であればあるほどなんだか悲しい気持ちになった。
行動が一世代前でセクハラまがいの行動や言動が多い上司を受け流そうとして、カラオケに行けば盛り上げ役を担い、無理難題を押し付けられてもさりげなく程々に要求を呑む彼女。職場で波風を立てたくないと、男性上司に正面切って反論しない彼女を後輩や同僚たちは庇う事なく、「彼女が何でも言う事を聞くからセクハラ上司がいい気になる」と、彼女もセクハラをされていることには変わりないのに、そこはさりげなく無視し、「彼女のセクハラを容認するような行動で、私たちが困っている」というような雰囲気を作り出すのだ。その流れを誰も止めることは出来ず、結局は彼女を庇うはずの女性上司も最終的に何もすることが出来ない。
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美しいBGMとチョン・ヘインの笑顔と共に日常生活が突然輝きだす前半部分、そして職場での厳しい現実に心折れそうになる後半。どちらも30代女性が直面する現実だろう。それは分かる。ただ、それにしては物語後半、彼女が会社の中で直面するトラブルの数々は私にとっては切なくなる展開で、前半部分の楽しい雰囲気を全部吹き飛ばす位のパワーがあった。