ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

人前でも叱る

2019-12-30 08:16:40 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「人前で叱る」12月21日
 品川区の会社員Y氏による『客がいるのに従業員叱るとは』というタイトルの投稿が読者投稿欄に掲載されていました。その中でY氏は、昼食時に入った料理店での経験を綴られています。『厨房で店主が接客担当の女性を叱っているのが聞こえました。声は抑えていますが「まだ終わってねーよ」などと執拗に叱責しています。どうも私の注文がきちんと伝わっていなかったことに激怒しているようなのです(略)険悪な雰囲気が伝わってきて落ち着けませんでした』という状況だったようです。
 Y氏は、その後お詫びにデザートを出され、会見時には店主も頭を下げてくれるなどの対応を受けましたが、『客に聞こえるのに従業員を長々と叱るような店は、二度と行かない』と書かれていました。優しい人柄がうかがえる内容でした。
 Y氏の人柄に感じ入る一方で、私は別のことを考えてしまいました。それは人前で叱ることの難しさです。人を育てるには、適切に叱るという行為が欠かせません。そして、他人の前で叱って必要以上の屈辱感を味わわせるというのは、まずい叱り方であるという原則があるのも事実です。しかし、間を置かずその場で叱らなければならないときがあるというのも事実なのです。
 料理店の従業員の女性は大人でしょうから、ある程度時間をおいても、自分のミスの意味や影響を忘れることはないでしょうが、一般的に言って、年齢が低いほど、時間がたってからの叱責は、その意味が理解できずただ不当に怒りをぶつけられたという負の感情だけが残るものなのです。
 小学校1年生の子供が朝友達を叩いて泣かせたとします。その後、普通に楽しい学校生活を送って、放課後に教員から呼ばれ今朝のことを叱責されても、ピンとこないまま先生に嫌われたと思い込んでしまうというようなケースを考えればわかりやすいでしょう。
  つまり、大人になり切っていない子供を指導する学校、特に小学校においては、その場で叱るという行為をなくすことはよくないことなのです。すべて、「後で教育相談室に来てくださいね」では済まないのです。
 地域に開かれた学校という考え方があります。その具体的な姿として、特別に授業参観日などは設けませんが、いつでも自由に学校に来て子供たちの様子を見てください、というやり方を採用する学校が増えました。確かにその理念は素晴らしいのですが、教員も人の子、何人もの保護者が見ている前では子供を叱りづらいと感じる教員が表れるのも無理はありません。その結果、教育的に必要な「今その場で叱る」という行為が躊躇われるようなことになれば、それは真に子供のためになりません。
 最近は、この「いつでも来てください」方式を採用する学校が増えてはいないようですが、よく考えてみることが必要だと思います。

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