ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

分かり切っていたこと

2019-12-31 08:32:32 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題
「分かり切ったこと」12月24日
 『スマホ浸透、部活減影響』という見出しの記事が掲載されました。小中学生の体力低下の背景を解説する記事です。記事では、体力低下の背景に運動する時間が減っていることをあげた上で、『スポーツ庁が2018年3月に「週2日以上の休養日」の設定などを盛り込んだ部活動ガイドラインを示したことが影響したとみられるが、同庁担当者は「減った部活動の時間がスクリーンタイムに移行した可能性もある」と危惧する』と書かれていました。スクリーンタイムとは、『テレビ、スマートフォン、ゲーム機などによる映像の視聴時間』のことです。
 要するに、部活動の時間を制限したら、その分じっと座ってスマホをいじっている時間が増え、体を動かさなくなって、体力が低下したということです。これを意外な結果だろ思う人がいるでしょうか。当たり前の話で、誰でも予想できたことではないでしょうか。それにもかかわらず、スポーツ庁の役人というその道の専門家が予想できなかったなどということがあり得るでしょうか。
 私は部活動の制限に賛成の立場です。ですから、今回の体力調査の結果を受けて、部活動の制限が緩和され、以前のような「部活漬け」を復活させてはならないと考えています。「部活漬け」の弊害についてはこのブログで何回も述べてきたのでここでは触れません。間違っていたのは、部活制限ではなく、そこから当然予想されるマイナスの影響に対して適切な対応策を講じていなかったことなのです。
 部活制限を実施する際、地域スポーツの振興やスマホ使用に関する家庭への啓発活動、公園等の使用基準の緩和など、体力維持のための方策を事前に検討準備すべきだったのです。全ての薬に効能と副作用があるように、全ての改革にプラスの影響とマイナスの影響があります。過度にマイナスを恐れることは停滞を招きますが、マイナスを考慮しない改革もまた失敗します。備えあれば憂いなし、です。
 戦後の学校教育改革は、改革→揺り戻しの連続でした。戦後まもなくの系統主義と経験主義の揺れは、近年の知識注入とゆとり教育という形で今も続いています。英語の正式教科化、プログラミング教育導入など、現在進行形の改革について、予想されるマイナスへの目配りは大丈夫でしょうか。
 
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