ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

学校とピーター

2018-11-22 07:34:29 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「学校という組織」11月16日
 余録欄に桜田五輪担当相の能力についての疑義を取り上げたコラムが掲載されました。その中で、『ピーターの法則』が取り上げられていました。同法則は、『ピラミッド型の組織の成員は有能ならば上のポストに昇進する。だがそのポストで有能でなければ出世は終わる。人はそれぞれ無能になるレベルまで昇進し、その結果、組織のポストはすべて無能な人間が占めてしまう』というものだそうです。
 つまり、有能な社員は出世して課長になる。でも、係長までは有能だった人物も、課長としては無能であることがあり、その場合は課長から上には昇進しないので無能な万年課長として、職場に居残り続けるという皮肉な見方です。では、学校ではどうなのでしょうか。従来、学校は「鍋ぶた型組織」と言われ、校長の下に教頭、その下には全員同じ教員が多数横並びでいるという組織形態でした。つまり、「ピーターの法則」は当てはまらなかったことになります。しかし近年の改革で、校長・副校長・主幹・主任・一般教員というような疑似ピラミッド型組織に変貌しました。とすれば、無能な副校長、無能な主幹、無能な主任が、多数存在するということになります。
 教委時代のいくつかのエピソードを思い出しました。ある校長が、「校長になるとその先の目標がない」と話していたことがあります。その話を耳にした教育長が管理職対象の研修会で、「校長先生は次に大校長を目指してください」という趣旨の話をしたのです。当時は、分かるけれど抽象的な話だなと思っていましたが、その後統括校長という職が設置されるようになりました。教育長には先見の明があったのかもしれません。
 また、主幹制度ができたとき、無能なベテラン教員を主幹に押し上げ、後任にやる気と能力のある若手を充てたいという校長がいました。これは、「ピーターの法則」について、『それで組織は動くのかと気になるが、仕事はまだ無能レベルに達していない人がやるから心配無用』と言われていることの応用編のような発想です。
 先ほど、近年の学校組織の改編後の校長・副校長・主幹・主任制度について、疑似ピラミッド型組織と言いましたが、学校組織は明確な規則と上司の指示命令で動くような体質ではなく、だから疑似とつけたのです。私は、教委の幹部時代から、学校というある種特殊な組織について、組織や経営の専門家の方に調査分析し、よりよい制度を構築してもらいたいと考えていました。学校に「ピーターの法則」が当てはまるのかも含めて、研究が進むことを願っています。

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« あるともつ | トップ | 軽薄と紙一重 »

コメントを投稿

我が国の教育行政と学校の抱える問題」カテゴリの最新記事