ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

社会保険庁と都教委

2009-01-25 08:14:20 | Weblog
「生活保障が目的」1月20日
 卒業式における国歌斉唱時に起立するよう職務命令を受けていたにもかかわらず従わず戒告処分を受け嘱託として再雇用されなかった元教員S氏が再雇用を求めていた裁判で、都教委に賠償命令が出されました。そのことを報じる記事の中に「再雇用制度は退職者の生活保障などを目的とし」という表現が目につきました。いつからそうなったのでしょうか。
 再雇用というのは、現役時代に勤務成績が良好だった人について、その経験や知識を公務生かすことが組織全体の公務遂行上プラスになる、ひいては国民のためになるという場合に行われるというのが建前であったはずです。もちろん「建前」なのですが、制度設計や裁判などでは、建前こそ大事にされるべきなのではないでしょうか。戒告処分(それ以上の処分も含む)を受けたことのある教員は、全体の数%にすぎません。つまり、戒告処分を受けたS氏は、間違いなく勤務成績が良好とは言えない人なのです。ただし、1回の戒告処分で30年以上の教員人生の勤務成績全てを判断するのかという疑問は当然あるでしょう。
 この点について考える際留意すべきなのは、同種の問題で偏りがないかという視点です。
新組織に移行する社会保険庁。戒告処分を受けた職員は新組織に採用されないという方針が決まりました。その中には、軽微な交通事故を起こしてしまったというような、勤務そのものとは無関係なことで処分を受けた人も含まれています。たまたま接触事故を起こした人と上司の命令に従わない人、どちらが勤務上大きな問題かと言えば後者に決まっています。しかも、定年退職後の再就職というのではなく、まだ働き盛りの人が採用されないという本人にとってより深刻な事態なのです。1回の戒告処分を根拠に職を奪われるのです。しかし、この方針に異議を唱えるマスコミは少ないようです。そうであれば、今回のケースについても、都教委の立場が支持されるというのが論理的帰結として正しいことになります。それにもかかわらず、都教委の方針に対する非難報道が多いのはなぜなのでしょうか。
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