ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

形だけ真似ても

2009-01-28 07:51:03 | Weblog
「システムではなく本質を」1月21日
 あるコラムで、「仕組みをいくらまねても、本質が分かっていないと同じようにはいかない」という言葉が紹介されていました。教育ではなく、福祉についての話です。
 デンマークの福祉システムについて、「どうしたらそんな社会システムが構築できるのか」と訊かれたときの担当大臣の答えは、常に「できないと思います」なのだそうです。その意味は、長い民主主義の歴史の中で培われた、「社会に対する高い信頼感」があって初めて成り立つ仕組みだからなのだそうです。
 学校教育についても同じことが言えそうです。学力が高いとされるフィンランドの教育について、わが国も見習うべきだという論が盛んです。また、国内に限っても、全国学力調査の結果が悪かった自治体は、結果がよかった自治体の試みを参考にすべきだという指摘がなされています。いずれも、半分は正しいのですが、半分は間違っているのです。
少人数指導、読書運動、外部講師の活用など、目に見えやすい「システム」にばかり注目が集まりやすいのですが、そんな「システム」を導入したところで思ったほどの成果は上がりません。それぞれの地域で長い年月をかけて培われてきた教育風土、生活習慣、家庭の雰囲気などの総体が子供の学力を左右している最大の要素なのです。もちろん、そうであるからといって、改革には意味がない、何も努力する必要はないといっているのではありません。教委も学校も個々の教員もそれぞれの立場でできる努力をしていくべきです。ただ、そうした改革の結果、予期したような成果が上がらなかったときに、教委や学校を責めるだけでは何も解決しないということを知ってほしいのです。
 まず、学校という場所が神聖な場所であり、教員は専門職であるという認識と敬意をもつことなしには、学校改革は成功しないと思います。学校教育がよい成果を上げているところに学ぶべきは、そうした雰囲気が醸成されているところなのです。

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