ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

本当は頼りたい?

2012-03-27 08:16:25 | Weblog
「頼りたい?」3月22日
 日本ペンクラブに所属する作家らが東日本大震災の被災地を訪問したという記事が掲載されていました。その中に次のような記載がありました。『放射線量が高い地域から自主避難している母親2人の話を聞いた。「行政に相談すると『どうしますか』と必ず判断をこちらに委ねる」と不安感を訴えた』というものです。
 記事には、このことについて評価めいたことは一切書かれていません。しかし、これは貴重な問題提起だと思います。行政側の職員は、まさに「インフォームドコンセント」を忠実に行っているに過ぎません。知りうる情報を提供した上で、当事者本人の判断に委ねるという原則にそった行動です。しかし、それに対し「素人」である母親たちは不安を感じているのです。おそらく、専門家から「~したほうがよい」とはっきりと進むべき道を示してほしいと考えているのでしょう。
 考えてみれば当たり前のことです。「インフォームドコンセント」を絶対視する考え方は、直面する事態についてすべての事実を明らかにすれば、「素人」にも正しい判断が下せるはず、という考え方です。しかし、世の中には「素人」では判断がつかないことがたくさんあります。
 「インフォームドコンセント」にはメリットと同時にデメリットもあります。デメリットとしては、専門家軽視につながること、専門家の誇りや自覚を傷つけること、専門家自身が「判断」する習慣をなくしてしまい、判断力をなくしていくことなどがあげられます。
 学校教育にあてはめてみると、「インフォームドコンセント」という考え方が、教員の無責任化につながっているように思えます。自らの経験と専門性に自信をもって保護者を説得するという姿勢は消え失せ、「一応話しておきますけど決めるのは親御さんですから。だから私は結果がどうなろうと責任はもちませんよ」というスタンスが主流になりつつあるのです。
 教員は「説得」を放棄してはいけないのです。多くの保護者も教員の専門性に裏付けされ自信に満ちた言葉を待っているのですから。
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