(久保の桜だったかと思います。桜の老大木が何本もの支柱に支えられ哀れにさえ思えました)
「農の神様に会う」
ある日会社帰りの本屋で、ふと目に付いた本の題名に惹きつけられて手に取った。
「農から明日を読む」と言う本である。少し見てこれは絶対に読まなければ、と思い購入した。
山形県高畠町在住の星寛治氏の著作である。
巻末の著作者紹介には、「農業・詩人・東京農大客員教授」とある。
読むほどに内容に惹きつけられる。
巻頭言に作家の井上ひさし氏が紹介されているが、
抑制された筆致で農業に対する熱い思いを見事に書いておられる。
そして現代を憂う気持ちに、惹きつけられると共に、星氏の住む山形県の高畠町にも興味がわき、
何時かは訪れたいと言う気持ちが高まった。
五月からは私の休日は畑仕事に費やされる。
四月だったら雪に悩まされる事もないし、休みは自由に使える。
妻と、妻の母を伴い花見を兼ねて、高畠町を訪ねる事になった。
途中で手に入れた案内書などを参考に、花盛りの桜の花見をしつつ、待望の高畠町に入った。
事前に御願いした訳でもなく、御会いできるなどとは思ってもいなかった。
御自宅の近くまでも行く事にさえ逡巡していた。
(続く)