畑に吹く風

 春の雪消えから、初雪が降るまで夫婦二人で自然豊かな山の畑へと通います。

連載81-2「冬の岩手路の旅」

2016-09-10 19:31:40 | 山菜

 めったにない冬の客に重い腰を上げたかのようなおばーちゃん
遠野の昔話を聞かせてくださいます。ここでも聴衆は4人なんですから。

冬の岩手路の旅(その2)

新米ガイドの朱美ちゃんは、一生懸命にメモを見ながら手抜き無しで説明してくれる。
でも、「右てをご覧下さい。右に見えてきますのは」とガイドしてくれるのだが、実は自分から見ての右。
私達から見ると左だと言うご愛嬌。そんな初々しさも嬉しい。 
二人のためにだけ、民謡も披露してくれる。

 佐々木運転手は、無理の無いスムーズな運転をしてくれる。
東北人らしい純朴二人と快適な、でも少し照れくさいバスの旅となった。

 観光地、旅館も同じ事。龍泉洞と言う鍾乳洞に入ると何やらにぎやかな声。
誰か先客がいると喜んだのだが、なんとこれは無人の説明放送の声だった。
さすがに二人では気持ちの良いものではなかった。
そそくさと、予定所要予定時間の半分程で回り終えてしまった。

 浄土ヶ浜のホテルに入る直前、二人は遠慮がちに言った。
「明日も私達のバスに乗っていただきます。」私達に不満など有ろう筈もないが、
又二人だけと思うと少し気が重い。      
宿に着き桧風呂に入ると言って、張り切って出かけた妻は、誰も居ず怖かったと早々に引き上げてきた。

             (続く)
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連載81-1「冬の岩手路の旅」

2016-09-10 04:36:39 | 旅行

 仏が浦海岸の断崖の上のホテルはパンフレットに載っていた最上の部屋でした。


 写真の日付を見ると14年前の風景。
この後、あの痛ましく忌まわしい東北大震災、大津波に襲われることとなりました。

    冬の岩手路の旅
 
 毎日暑い日が続き、畑仕事には最悪な季節ですが、これは大変寒かった冬の旅の話。
何時の間にか勤続三十五年となり、会社から記念の旅行券を頂いた。
妻と相談し、春からは忙しくて無理なため、雪の時期の旅と決まった。

 妻はJR社員の家族であるうちに、汽車の旅をしたいと言う。
あれこれ考え、パンフレットを集めて出た結論が東北旅行。
なに二人共雪国生まれ、寒いのには慣れてるさ、と気楽に考え、岩手県を行き先に選んだ。

 当日、朝六時過ぎに家を出て、新幹線を乗り継ぎ、十一時少し前に盛岡駅に着いた。
案内どおり西口に向かい、目的の会員バス「魚菜王国二号」を見つけた。
勇躍乗り込むとどうやら一番乗り。

 しかし定刻少し前に、私達夫婦を乗せただけで発車してしまった。
少し走ったところで怪訝に思い、ガイドさんに尋ねるとなんと客は私達だけだと言う。
大変な事になってしまった。五十人乗りの観光バスを、二人で借り切ってしまったのだ。

             (続く)

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