ふかふかとした柔らかな土のリンゴ園で、剪定の手を止め珍客に付き合ってくださいました。
その立派なリンゴの木は、よく見ると幹が避けているものも多く、いわゆる56豪雪の後遺症だと説明されました。
「農の神様に会う」(その2)
しかし、何時もは引っ込み思案な妻が珍しく会わせて頂こうと言い張る。
「だって御会いしたくて来たのでしょう」「それはそうだけど・・・・・」と煮え切らない私。
いつも積極的な私にしては珍しいと妻は言う。
神様のような人に、気軽に御会いするなんて恐れ多くてと、気後れしたのが正直な気持ちでもあった。
カーナビを頼りに探したが、一回ではたどり着けなかった。
ここでも、積極的な妻は、人に尋ねることを厭わなかった。
三回目に、家の傍で農作業をする女性を見つけた。妻は興奮した面持ちで走ってきた。
なんとその家が、星寛治氏の御自宅であり、女性は奥様だったのである。
口ごもりつつ、突然の来訪の言い訳をした。
そんな私たちを警戒するでもなく、奥様はお茶を勧めてくださる。
遠慮して断ると、午前中に苗代の、種籾播きを終え、午後からリンゴの最後の剪定作業に出掛けられたので、
畑まで案内して下さると言う。遠慮しつつも奥様の原付バイクの後に従った。
(続く)