スベルべとマックスが近付くと川鵜は一斉に飛び立った。
大切な魚野川の鮎や小魚を大食する憎いやつながら、彼らもまた水害の被害者なのかも。
こうして見ると水田と、旧堤防の高さがほぼ同じなことが分かる。
水田を地震の発生土で埋め立てた際に、これから起きうる事象を考えなかったのは感性が不足している。
まだ、刈り取りされていない水田の中には大きな流木が。
濁流が逆流を始めた地点に近いほど被害は大きく、稲刈りはしないと思う。
刈り取りに大量の流木が邪魔になるし、第一ほとんど満足な米にはならないだろう。
向こうにはブルーシートを冠った大型コンバインが見えるけれど、ここの稲も刈るのかなー。
稲は根元を十センチ近い泥に埋め尽くされて窒息状態。これでは満足に実を結ぶ訳も無い。
ここなど、水田と言うよりも、ただの草原です。
豊作を期待し、田植えから手をかけてきたというのに、一瞬の間に荒れ果ててしまった。
想定外なんて言葉が最近安易に使われている。
色々な状況を判断し、これから起こり得ることを想像するのが知性と感性ではないか。
最近、市当局の避難指示が遅かったのではないかと囁かれ始めている。
確かに、避難指示は出たそうだが、時刻は5時20分だったようだ。
水量が氾濫危険水位に達したのは、三十日当日よりも二十九日の23時20分だった様子。
私が聞いた市からの情報は三十日の10時頃の「避難指示」の解除でしかない。
前夜のうちに情報が届いていたら、少なくとも自動車を水没させた人も減っていたでしょう。
ただ、皮肉と言うしかないけれど、「避難指示」に従って行動していたら、
死者、行方不明者が出たことは容易に想像できる。
さて、十月四日の堤防延伸工事の説明会が楽しみですね。
安易に想定外なんて言葉を使ったら、このスベルべ黙っちゃいないよ。