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「コネがない騎手」・藤田伸二は大騎手になった!(2013年6月13日 アサ芸プラス 他)

2018-12-10 07:43:18 | 競馬
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藤田伸二が札幌最終日に引退表明も参照。


G1・17勝、藤田が電撃引退/競馬・レース/デイリースポーツ online

2015年9月6日

 記録にも記憶にも残る個性派の名手が、電撃引退することになった。歴代8位、現役5位のJRA通算1918勝(うちG1・17勝)の実績を誇るダービージョッキー・藤田伸二騎手(43)=栗東・フリー=が、騎手免許の取消申請を提出したことを6日、JRAが発表した。

 出身地である北海道での今夏の開催が終わり、名手が静かにムチを置く。結果的にラストライドは6日の札幌7R(イキオイ10着)で、5日の札幌2R・ジョルジュサンクが騎手生活で最後の勝利となった。

 91年にデビューし、39勝を挙げてJRA賞・最多勝利新人騎手を獲得。翌92年のエリザベス女王杯(タケノベルベット)でG1初勝利を飾り、96年には弱冠24歳でフサイチコンコルドを駆ってダービーを制覇を達成した。その後も勝利を積み重ね、JRA通算1918勝は歴代8位、現役では武豊、横山典、蛯名、柴田善に次ぐ5位。G1・17勝を含む重賞93勝も歴代5位の記録となる。



コネがなく、『飛び込み』で競馬界に入った藤田がここまでの「大騎手」になれたのは異例中の異例。上記5人の中では、蛯名正義もほとんどコネがないのも同然の環境だが、それでも、遠縁には故・蛯名信広調教師がいた。

よって、藤田は競馬に縁がなくてもここまでやれる、という「お手本のような騎手」だったといえる。


その一方で、藤田は、田原成貴を若手の頃に慕っていた(田原が管理する有力馬に藤田が優先的に騎乗していたこともあった。また、田原もまた、コネのない環境から騎手になった。)こともあってか、田原同様の「直言」が目立った騎手でもあった。


藤田伸二騎手「武豊を潰したのは社台とアドマイヤ」(1)岩田と福永の騎乗にダメ出し | アサ芸プラス

現役騎手の立場でありながら、みずからの職場であるJRAを猛烈批判し、馬主や騎手仲間にも名指しで苦言を呈する。十分すぎる実績を残してきた実力者とはいえ、「タブー」に挑んだ衝撃はGI級。「競馬界の番長」ならではの暴露本出版に、現場からはどよめきの声が上がっているのである。

 目次を見ると、いきなり「序章 さらば競馬界」の文字。引退が決定したかのような決別宣言から始まるのは、5月17日に発売された藤田伸二(41)の著書「騎手の一分」(講談社)である。天皇賞、日本ダービー、ジャパンカップダート、宝塚記念、有馬記念などGIを16勝する一方で、ヤンチャな性格と言動から「番長」と呼ばれる剛腕騎手の衝撃暴露が、これでもかと続くのだ。

〈俺は騎手としてすべてやり遂げたからもう辞める、とまでは言わないけど、「もうやることがない」という気持ちはある。(中略)「今、勝ちたいレースは何か」と訊かれても、もう特にない〉

 こう書いたうえで、引退後は調教師にも馬主にもならないと断言し、競馬界の将来を憂うのだ。

 いきなり飛び出すのは、同僚騎手への苦言や批判。

〈もし、昨年のレース中、後藤が落馬した事故で、俺がそのきっかけを作った康誠の立場だったら(中略)自粛もせずに乗りつづけるなんて、絶対にできない〉

 昨年5月6日のNHKマイルカップ(GI)で、岩田康誠(39)の騎乗馬が斜行し、進路を塞がれた後藤浩輝(39)が落馬、頸椎骨折の重傷を負った。栗東トレセン関係者が言う。

「岩田が『あんなやつ、落としたったわ』と発言したといいます。さすがにそれはないやろ、と騎手や関係者の間で話題になりましたが、藤田はそれを言いたかったんじゃないかな」

 藤田は、今年55勝で全国リーディング1位(6月7日現在)の岩田の騎乗スタイルにもダメ出しした。

〈康誠のように馬の背中にトントンと尻をつけるような追い方だけは、絶対に認めたくない。(中略)馬の背中を痛めてしまうから〉

 さる厩舎関係者はこれに同意する。

「馬の背中の筋肉は収縮するわけだから、そこにドンと尻がついて推進力がアップするとは思えない。かえってマイナスだと思う」

 藤田は蛯名正義(44)も岩田のマネをしていると批判しているが、

「ある厩舎が『蛯名が乗って馬の腰がダメになった』とボヤいていた。岩田が後藤落馬で毒づいたのは、後藤も岩田の乗り方を認めていないからでしょう」(専門紙トラックマン)

 藤田がこうして断じるのも、自身が22年以上の騎手生活でフェアプレー賞17回、特別模範騎手賞を2回受賞するクリーンな乗り手を標榜しているからだろう。

 さらに福永祐一(36)についても、

〈体重が後ろにかかって、懐が開き過ぎることがある。膝でバランスを取ろうとしているから、膝がカックンカックン動いてしまうのはそのせいだ。それでいて、勝ちにこだわった乗り方もしていない〉

 とボロクソなのである。



藤田伸二騎手「武豊を潰したのは社台とアドマイヤ」(2)フェアプレーができない騎手に苦言 | アサ芸プラス

藤田は岩田と福永がよほど嫌いなのか知らないが、

〈成績がいい人が腕もないのに若手を威圧している。康誠とか祐一は、しょっちゅう制裁を食らっているけれど、それでいてジョッキールームでは若手に対して「危ないじゃないか」と怒っている〉

 ともバラしている。藤田ファンの作家・亀和田武氏はこう話す。

「フェアプレー賞を取り続けたことを誇りに思って、それができない騎手に苦言を呈する。男藤田の純情があふれていると思います。藤田はレース後に検量室に戻って若い騎手をシメることがよくありますが、そういう背景がよく表れていますね。この著書にも具体的に書かれていますし」

 亀和田氏が指摘するくだりというのは、

〈斜め前にいた川島が、コーナーを回っているのにバンバン外から鞭を入れている。あんなことされたら普通は馬が嫌がってヨレてしまう。(中略)だからレース後に川島を呼んでこう言ったんだ。「お前なあ、コーナーで鞭をあんなにいれてどうする?」って〉

 岩田と福永は単なる威圧、藤田は指導、ということだろう。だが一方で、こんな声があるのは不思議といえば不思議だが‥‥。

「札幌や函館ではいわゆる藤田ラインの騎手、例えば藤岡佑介(27)、松田大作(34)、池添謙一(33)などは、藤田が逃げると誰も競っていかないのが暗黙の了解でした。若い騎手がスッと競ったりすると、レース後に競馬新聞を叩きつけて『お前、流れが読めねぇのか』などと詰め寄っていた。競馬だから競ってナンボなのに。記者の間では“恫喝逃げ”と呼んでいました」(前出・トラックマン)

 競馬ライターがあとを引き取る。

「かつて三浦皇成(23)が競りかけて藤田が恫喝した際、河野通文調教師が『ウチの騎手に何を言うんだ』と怒った件もありましたね」

 さて、とりわけ印象的なのは「なぜ武豊は勝てなくなったのか」という章が独立して設けられていること。05年の年間212勝をピークに武豊(44)は下降線をたどり、別人のように勝ち鞍が激減したことをあげ、

〈あの武豊をこんな状態にしたのは誰なのか──〉

 と「犯人捜し」に着手しているのだ。藤田はまず、06年から導入された「エージェント制度」をヤリ玉にあげた。これは各騎手と契約した競馬専門紙の記者や元記者が、厩舎や馬主と騎手の仲介者として騎乗馬を決めるシステムである。



藤田伸二騎手「武豊を潰したのは社台とアドマイヤ」(3)勝てる馬の奪い合い | アサ芸プラス

藤田は「武衰退」の原因をこう書いている。

〈単純にいえば強い馬に恵まれた、恵まれないかという点に尽きるわけで(中略)エージェント制度と密接に関連してくる〉

 どういうことか。藤田はさらに解説を進める。

〈強い馬を多く輩出する馬主や、それを手掛ける調教師に食い込んでいる記者(エージェント)の元には、より強い馬の騎乗依頼が数多く届く。(中略)だから結果としてユタカさんのもとには、決して力が衰えたわけでもないのに、昨年リーディングを取った浜中が乗っているようなレベルの強い馬がなかなか回ってこず、近年の成績悪化に結びついているんじゃないか〉

 だが藤田自身もこの制度を利用し、恩恵を受けていたはず。それを〈エージェントも交えての、将来ある馬や勝てる馬の奪い合い──俺はその、あさましいまでの争いに加わる気がなくなった〉と書いているのは昨年、担当エージェントが他界したせいもあるのだろう。

 そして藤田は「タブー」へと踏み込んでいく。

 近年、台頭著しい大手クラブ、有力馬主の発言力が大きくなり、言うことを聞く調教師に、騎乗させる騎手や乗り方の指示を出して、厩舎に馬を預ける。そして目先のレースに勝つことだけを考え、安易に外国人騎手に乗り替わらせる。これでは若手も育たない──。そう書かれたそばには入着賞金収得額ベスト10の一覧表があり、大手クラブが1位から4位までを独占していることを示している。ご丁寧に「※」印をつけて「社台グループ」という注釈まであるのだ。前出・亀和田氏も言う。

「確かにここ最近、馬券を買う時の判断として、社台系の馬かどうかがものすごい重要な対策になっている現状があります」

 本誌は以前から、武が競馬界最大の勢力である社台グループ、あるいは大馬主に干されたことが一因となって勝ち鞍が激減したことを報じてきた。

 藤田もまた、皐月賞馬ロゴタイプの調教からつきっきりで乗っていた村田一誠(34)があっさりクビになりデムーロに差し替えられたこと、オルフェーヴル主戦の池添がフランス遠征時にスミヨンに乗り替わったことをあげ、

〈簡単に騎手を替える人たちというのは、どういう気持ちで騎手のクビを切っているんだろう〉

 と牙を剥いているのだ。ロゴタイプの馬主は社台グループの吉田照哉氏、オルフェーヴルの馬主も社台系クラブのサンデーレーシング。まさに武を潰した勢力の「名指し批判」と言える。

 さらに、乗り方の指示を細かく出すクラブについて、

〈その大手クラブは若手騎手ばっかりに乗せている。若いヤツらは言うこときくからね〉

 前出・厩舎関係者は、

「これはサラブレッドクラブ・ラフィアン、ビッグレッドファームのマイネル、コスモ系を指していますね」

 そして藤田はこの大手クラブとの確執、武低迷との関係をこう説明するのだ。

〈ユタカさんとか俺とかはそうした指示を聞かない。だから自然と、大手クラブからの騎乗依頼が減ってきているというわけ〉



藤田伸二騎手「武豊を潰したのは社台とアドマイヤ」(4)JRAこそが犯人だ | アサ芸プラス

藤田は、武が勝てなくなった原因に、ある有力馬主との関係悪化もあげている。

〈その人から「お前、乗れないな」みたいなことを言われて、あの温厚なユタカさんが怒ったというんだ。07年4月、香港で行われたレースでユタカさんが騎乗した際、(中略)馬主はさらに不満をぶつけた。それを受けて、ユタカさんは静かに、「もう二度と(その馬主の馬には)乗らない」と言った、と俺は聞いている〉

 07年4月の香港といえば、クイーンエリザベスII世杯(GI)で3着だったアドマイヤムーン。馬主は大御所の近藤利一氏、生産者はノーザンファーム(社台系)である。藤田は武より以前に、近藤氏とケンカ別れした、いわば「同志」。気持ちがわかるのだろう。

 さて、社台グループ、岡田繁幸総帥のマイネル軍団、そしてアドマイヤ近藤氏という大物に反旗を翻した藤田は、こう結論づけた。

〈誰が日本競馬最大の功労者ともいっていい武豊を、今のような状態に追い込んだのか──エージェント制度が導入され、大手クラブや有力馬主の発言力が絶大になり、安易な乗り替わりや外国人騎手の多用を招いた──そんなシステムを作ったJRAこそが、その“犯人”だと俺は思っている〉

 諸悪の根源たるJRAに対しては、制裁や騎乗停止などをジャッジする裁決委員のレベルの低さも嘆いている。彼らは一度も競馬をしたことのない素人だ、と。競馬解説者の東濱俊秋氏もこれに賛同する。

「6月2日の安田記念(GI)で勝った岩田騎乗のロードカナロアがダノンシャーク(3着馬)にぶつかったのに10万円の過怠金だけ。あれはひどいと思う」

 残り200メートル付近で岩田の左鞭に反応したロードカナロアが右に斜行してダノンシャークと接触し、再度の左鞭でまた接触。後ろから追い上げていたショウナンマイティ(2着馬)も玉突き的に外に振られた。東濱氏が続ける。

「あれは明らかに岩田の“確信犯”ですから。降着するしないではなく、もっと厳しく注意しないと。少なくとも審議なしというのはおかしいし、こういう乗り方を認めたら、そのうち必ず事故が起きると思いますよ。何しろ主催者のJRAが裁いているわけで、例えるなら、東京ドームの巨人×阪神戦で巨人の職員がストライク、ボールを判定するようなもの」


 かくも辛口で捨て身の告発暴露本。前出・亀和田氏はあらためて賛辞を贈るのだ。

「藤田にとっては何のメリットもなく、リスクだけが残る。でも、あえて書いたのはJRAの競馬に魅力を感じなくなったからでしょう。彼なりの寂しさ、憤りがあって、辞める前に書いておこう、と」

 栗東トレセン関係者は、

「滋賀県内でマンション経営を始めているようで、引退したらそっちでやっていくつもりなんでしょう」

 この著書の帯には武の「ヤンチャなシンジらしい、おもしろい本やね」という「推薦コメント」がある。武もきっと胸のすく思いをしているのだろう。



ま、「読み物」としては面白いが、JRA関係者は「カンカン」だっただろうね。

さて、藤田のような騎手は今後、JRAに出てくるかなぁ?

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3 コメント

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Unknown (Unknown)
2015-09-07 13:42:57
これはいい記事だ。公営競技はどこへ行く復活か。

政治記事反対!公営競技記事賛成!
Unknown (Unknown)
2015-09-07 00:12:35
松岡が藤田の意思を継ぐ騎手かなと思ってましたが、最近はすっかりひよってしまいましたね。
なんでも某大物馬主に対して軽はずみな発言をして逆鱗に触れたらしく、良い馬が全く回って来なくなってから大人しくなったみたいです。
ご無沙汰しております (Tです)
2015-09-06 21:51:49
なかなか難しい問題です、業界構図ができあがっているので……。


故Uさんが札幌函館で始めた流れが、馬主さんと厩舎のパワーバランスの変化とあいまって、現在の展開を生んだんです。


Uさん、そういう意味でもスゴい人でした。プライベートはもちろん(笑)。

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