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ほぼ週二 横浜の山の中通信

人と異なる視点から見る

中国のあべこべ

2023年05月24日 | 国際・政治(中国)

台湾有事の時、中国への対応はどうする?

 

日本の外務省の元高官だった人が、「米国は(1989年の)天安門事件の時も中国と関係を維持した」と、対立していても外交ルートを維持する必要性を説いていた。まあ、米国は「金が儲かる」ということが優先事項なので、中国と断交する選択肢は無かったと思う。

 

確かに外交ルートを維持するのは必要だけど、天安門事件は内政だからね。新疆ウィグル自治区の問題も一応中国の内政問題。

 

それに比べて、台湾進攻問題は外交の話。米国は中国という大市場を放棄して、ちっちゃな台湾を助けるかな? 大いに疑問。ただし、戦略的に重要な台湾を見捨てると、中国は米国にとって更なる脅威になりうるので、難しい選択を迫られることになる。できるなら、このままの中途半端な状態を続けたいと思っているはず。

 

駐フランス大使と中国外務省報道官はどっちが上

 

中国のフランス大使の発言を中国外務省の報道官が否定していた。これって、あべこべじゃないの?

 

中国の駐フランス大使の盧氏は、4月21日のフランスのテレビ番組で、旧ソ連から独立した国々について「主権国家としての地位を定めた国際的な合意はない」などと述べた。これは旧ソビエト連邦から独立した国々の主権を疑問視するような発言であり、旧ソ連を構成していた各国、特にラトビアやウクライナから反発が出ている。

 

これに対して、中国外務省報道官は盧氏の発言の火消しに回り、旧ソ連を構成していた各国は主権を有していると述べ、「私の発言が中国政府の正式な立場を代表している」と強調した。ところで、駐フランス大使と中国外務省報道官はどちらが偉いの? 

 

これはかなり昔の話。反日的な発言を繰り返していた中国外務省の報道局長が駐フランス大使に異動する人事があった。ということは、駐フランス大使の方が報道局長より階級が上になる。報道官はもちろん報道局長より下なので、報道官は駐フランス大使よりもかなり下。

 

階級が上の人の発言を下っ端の小役人が否定したところで、どれほどの信頼性があるのかかな? ここは外相がちゃんと発言すべきところだけど、中国ではこういうところで外相はに出て来ない。

 

今までも、中国外務省報道官の発言の信頼性について書いている。

2022年6月20日の「中国外務省の小役人

2020年7月9日の「中国外務省の小役人『報道官』の発言を引用する価値はあるのか?

2018年11月21日の「中国外務省の報道局は郵便局みたいなもの~非難あびたら極限まで御免 その7~

 

外務省は中国政府の一機関であり、中国共産党とは別系統のはず。その中国外務省が中国共産党の担当と思われる事柄について発言しても、信頼性はあるのかな?

 

また中国外務省が中国政府の他部門の話をしても意味があるのかな?

 

2023年5月24日

 


清朝はサハリンを統治していた

2023年05月01日 | 国際・政治(中国)

ロシアと中国は微妙な関係

 

ウクライナに侵攻したロシアは仲間が少ないので、習近平をロシアに招いて仲間にしようとしたが、習近平は公にはそう簡単に首を縦に振らなかったようです。良く言われている話ですが、ロシアと中国は仲がいいようで実はお互いを警戒している。

 

中国は清朝の頃、その領土はロシアの沿海州を越えて広がっていた。ところがソ連が上手く立ち回り、北京条約でソ連領になってしまった。それが怨念として中国に残っているのか、現在中国で売られている地図には、ロシアの一部の地名に中国名が付記されているとか。

 

中国の地図のロシア地名に中国名が併記

 

4月5日の日テレニュースから引用すると、

 

中国の地図を発行する政府機関・自然資源省は、2月14日に「公開地図内容表示規範」を公布し、その第14条の規定に、ロシア極東地域の8か所の地名(沿海州と外満州の地名)に対し、現在はロシア語で発音されている地名に加えて、中国領だった清王朝時代の中国名も地図上に併記することを義務付けました。

 

この8カ所の中にサハリンがあり、「庫頁島」という中国名が付けられている。うん?清朝時代、サハリンは中国領だった?

 

サハリンは中国領だった

 

史学研究会の松浦茂氏の書いた「<論説>一七二七年の北京会議と清朝のサハリン中・南部進出」には、

 

(清は)雍正十年(1732年、徳川吉宗の頃)にはイブゲネらを再度サハリンに送り、中・南部のアイヌを始めとする、全部で百四十六戸の住民を従属させた

 

とあり、清はサハリンまで勢力を伸ばしてきたようです。この論説には、「カムチャッカ半島の南端のエゾ」という表現が出てきて、ロシアは「エゾ」を自国領と主張していたようです。「エゾ」が北海道と書いた記述が無いので、どの地域なのか不明確です。

 

2018 年9月の『北東アジア研究』別冊第4号には、「清朝のアムール支配の統治理念とその実像」というのがあり、サハリンを含む中国、ロシアでは毛皮取引で活発な人の移動が行われていたようです。

 

清朝は、曲がりながらもサハリンを支配していたようです、

 

中国とロシアの複雑な関係

 

上に書いたような事情があるので、清朝の弱みに付け込み、列強の中で上手く立ち回って沿海州やサハリンを手に入れたロシアに対して、中国の人たちは複雑な感情を持っていると思われます。

 

一方、ロシアもかって中国領土だったロシア領に中国の影響が及ぶのは避けたいでしょうね。

 

中国は将来、沿海州を取り戻す意思はあるのでしょうか? 表立っては言えないけど、消極的に狙っているとか? チャンスがあれば奪い返すつもりかな? 

 

中国は取り返す?

 

中国が台湾を併合した後、中国はロシアの沿海州とサハリンを取り戻しに来るかもしれない。ロシアが弱体化した隙に乗じて、中国がサハリンを占領したら、日本にとって脅威でしょうね。その時、日本はアリューシャン列島を取りに行きますか!

 

それとも、中国は西部方面で紛争を起こすかな? 

 

ところで、中国共産党の一党独裁下における資本主義経済(少なくとも計画経済ではない)という不可思議な体制は、いずれ行き詰って崩壊すると思う。いずれにしても、ロシアの弱体化と、中国の現体制の方向転換(弱体化?)は訪れる。

 

2023年5月1日

 


中国戦狼外相、米国には通じず

2023年02月16日 | 国際・政治(中国)

前駐米大使の起用は米国との仲を改善するサインか?

 

誰かが、前駐米大使の秦剛氏を外相に起用したのは、中国が米国との関係を改善しようとするサインと書いていたが、そんなわけ無いだろう。中国外相の秦剛氏は、駐米大使の時代は大人しくしていたが、その前の報道官時代は「戦狼」と言われていたように、対外的にキツイことを言っていた。彼は親米ではないし、米国と太いパイプがあるわけではない(多分)。

 

「戦狼外相」に関しては既に書いている。

2023年02月04日の「戦狼外相秦剛氏

2023年01月15日の「行き当たりばったりの習近平は失脚する

 

中国外務省の報道官会見なんてゴミ

 

中国外務省報道官の記者会見なんて、何の権限も無い小役人が適当にしゃべっているのに、日本のメディアが何で取り上げるのか、と書いて来た。例えば

2022年06月20日の「中国外務省の小役人

 

中国外務省の発表

 

中国が飛ばした気球を米軍が撃ち落とした事件で、中国外務省報道官の記者会見での発言を、時事通信、産経新聞、日テレ、テレビ朝日などから集めました。(全部ではない) 中国外務省の報道官なんて、使い走りの小役人なのに高い演台の上で偉そうに話している。だいたい、中国政府の他部門の役人や中国共産党が中国外務省の小役人に情報を流してくれるか、大いに疑問がある。それでも、報道官の話から中国外務省の動きだけは分かる。

 

3日午後 (アメリカ上空を気球が飛んでいる頃)

状況を「確認中」として、「臆測や大げさな騒ぎ」を控えるよう内外メディアにくぎを刺していた

「米国とともに冷静、慎重にこの問題を処理することを望む」

 

3日夜 (中国の気球であることを認める)

「米国内に誤って入ったことは遺憾」

「不可抗力で米国に誤って入った」

 

4日

「米国の一部の政治家やメディアが(気球の)問題を利用して中国を攻撃していることは、断固反対だ」

(気球は)「民生の気象研究用」

ブリンケン氏の訪中延期は「米国の事情であり尊重する」

「米国の一部の政治屋、メディアがこれにかこつけて中国を攻撃、中傷することに断固反対する」

 

5日

気球を撃墜したことについて「強烈な不満と抗議」

「中国は検証を経てこの飛行船が民間用で不可抗力により米国に進入し、完全に意外な状況であることをすでに何回も米国に知らせた」

「米国防総省報道官もこの気球が地上の人に軍事的・身辺的に脅威にならないと明らかにした。こうした状況で米国が武力を動員して過剰反応を見せたことは国際慣例を重大に違反したもの」

「中国は関連企業の正当な権益を断固保護するだろう」

 

7日 (韓国の中央日報)

「この気球は米国のものではなく中国のもの」

「中国政府は引き続き自身の正当で合法的な権益を決然と守るだろう」

全世界の記者たちは気球の所有企業、細部設備、後続調査の是非などに対する質問をしたが「関連情報がない」「状況が分からない」と答えなかった

気球は「侵入」したのではなく、「漂流」したものであり、「偵察用」ではなく「気象観測用」

「米国は冷静かつ専門的で、武力を使わない方式で妥当に処理すべきだった」

「米国がついに武力を動員したのは明白な過剰反応」

 

7日 

気球は「中国のもので、アメリカのものではない。中国政府は自身の正当で合法な権利を断固として守る」

 

13日

「アメリカの気球が去年の1月1日以来、十数回、中国の領空に侵入していた」

「アメリカの気球を撃墜したのか」との記者の質問に対して「責任ある専門的な措置を取った」

アメリカこそが「最大のスパイ国家だ」

 

10日以降に撃墜された3件の飛行物体について「状況を把握していない」

「昨年来、米国の気球は10回あまり、中国の領空を違法に飛行した」

中国の6企業・団体を禁輸リストに追加する制裁については、「強い不満と断固反対」

 

15日

以前に日本に飛来した気球について、日本が中国に抗議したことに対して「日本は確固たる証拠がないのに中国の顔に泥を塗った。それに対して中国は断固として反対する」

 

戦狼外相は苦しくなってきた

 

当初、戦狼外相は気球問題で波を立たせないよう目論んでいたが、アメリカがそうはならなかったので、徐々に元の性格が表に出て来た。中国外務省の報道官は、これくらい外に向かってあること無いことを言わないと、中国国内から批判を浴びる。しかし、これでアメリカとの関係改善は元の木阿弥になってしまった。

 

だいたい、中国の中央政府や地方政府の情報を中国外務省の小役人が把握できるわけが無いのに、報道官が中国を代表するかのように振る舞うのは越権行為。

 

戦狼外相は、やはり「戦狼」を前面に押し出さなくては、目立たない。米国を相手にすると今回の様に手強いので、これからは御しやすい日本に対してさらに「戦狼」の面を押し出してくる。

 

2023年2月16日

 


中国のスパイ気球は撃墜された

2023年02月07日 | 国際・政治(中国)

中国の気球の三つの疑問

 

・中国はどこから気球を放したか?

  読売新聞は、中国の内モンゴル自治区から放たれたと報道している

・気球の写真を見ると、太陽電池パネルと複数のプロペラが見えるが、観測機械の場所が良くわからない。どこにある?

・中国は気球が測定したデータをどうして収集するのか? 無線で送信する?それとも気球を大西洋で回収する? 前者であれば、中国は撃墜前に米国のデータを得ている。

 

気球はモンタナ州にいたと思ったら、大西洋岸まで来ていた

 

太平洋戦争当時、日本は風船爆弾を偏西風に乗せて飛ばしたことがあるが、2~3日で米国に到着する想定(Wikiから)だったけど、この気球は何時頃中国本土を離陸したのでしょうか? 偏西風に乗せたのか、乗せなかったのか?

 

民間航空機が飛ぶ高さより高いところでは、偏西風が弱いのでプロペラでも方向を制御できると伝えるメディアがあったが、実際はどうなんでしょうか?

 

2月1日にモンタナ州上空で取られた写真にこの気球が写っていた。この気球は、4日には大西洋岸に達したので、3日でアメリカ大陸を横断している。米軍は大西洋岸で撃墜した。

 

米国は中国のスパイ気球を撃墜

 

米国はサイドワインダーミサイルを撃ち込んだと報道されているが、近くで爆薬を破裂させたんでしょうか? ミサイルが気球を突き抜けていくだけでも、気球は破裂して落下していくと思いますが、気球を精度よく狙うのが難しいのかな? 

 

中国の言い分

 

「気象観測に主に使われる民需用飛行船」が、不可抗力で米国に進入したのであり、「米国が武力を動員して過剰反応を見せたことは国際慣例を重大に違反したもの」と主張している。

 

この言い訳は苦しいというか、ウソ。中国もロシアと同じように、見え透いたウソをつく。米国は、撃墜した気球を回収して分析して、中国の言い分を否定する根拠を示してほしい。

 

中国の気球を撃ち落とすと問題がある?

 

中国は、「米国が武力を使用して民間の無人飛行船を攻撃したことに対し強い不満と抗議を示す」と反発しているようですが、政府だろうが民間だろうが、領空に入った制御不能の気球を撃ち落としても問題ない。中国の言い分はよくわからない。

 

中国は「気球が迷い込んだ」と言っているので、気球の制御は不能なのは明らか。そうであれば、気球はどこへ行くかわからないので、安全のために撃ち落とすのは当然。

 

反対に、米国が気象観測用と偽ってスパイ気球を中国に飛ばしたら、中国は直ぐに撃墜するのに。

 

今回の件で、日本に中国の気球が飛来したら撃墜する前例が出来た。しかし、日本の自民党政府は撃墜する根性が無いだろうな。

 

中国はそれぞれの部署が勝手に動く

 

ブリンケン国務長官が訪中するというタイミングで、たとえ気象観測用であっても、米国の国土に迷い込むような気球を中国は飛ばすかな? 以前にも書いたけど、ある米国の人が「中国の政治体制は一体のように見えるが、それがうまく機能したことは無い」と言っていたが、まさにその通りです。

 

2023年2月7日

 


戦狼外相秦剛氏

2023年02月04日 | 国際・政治(中国)

岸田首相、止めさせる人が違うのでは?

 

2月4日、岸田首相は荒井総理秘書官を更迭しました。いつもは決断が遅いのに、今回はやけに決断が早い。だけど、先に岸田首相長男の秘書官を更迭するべきでは?

 

中国から飛んできた気球のおかげで国務長官の訪中が延期

 

米国のブリンケン国務長官は、2月3日に出発して中国を訪問し、秦剛外相などと会談する予定でした。しかし、米国上空に飛来した中国の偵察気球(中国は民間の気象観測用と主張している)が米国の主権を侵害しているとして、中国訪問を延期しました。

 

ブリンケン国務長官は、中国の王毅共産党政治局員に電話し、気球の件で抗議したと報道されている。ブリンケン国務長官は秦剛外相などと会談することになっていたが、抗議の電話の相手が王毅共産党政治局員ということからすると、中国側のカウンターパートナーは秦剛外相ではなく、王毅共産党政治局員ということがわかる。

 

林外相と秦剛外相が電話会談

 

一方の日本。2月2日に中国の秦剛外相は日本の林外相と電話会談をしたと報道されている。このことからすると、日本の林外相のカウンターパートナーは秦剛外相になる。ということは、日本との交渉をするのは、中国共産党ではなく中国外務省になる。

 

2日の電話会談では、秦剛外相から

・日本が行っている新型コロナウイルス水際対策措置の緩和

・尖閣諸島での「右翼勢力の挑発を(日本政府が)制止する」こと

・「歴史や台湾の問題で言動を慎む」こと

を要求。

 

一方、林外相からは

・中国当局に拘束された日本人の早期解放

・日本周辺での(中国の)軍事活動の活発化に深刻な懸念を示した

 

秦剛駐米大使はまともだった?

 

秦剛外相の前職は駐米大使でした。駐米大使の時の秦剛氏の発言は、「戦狼」的ではなく、しごくまともだったと書いている人がいた。そりゃそうでしょ。報道官時代のように、米国に対して「戦狼」的な発言をしていると、駐米大使の仕事に差し障りが出て来るし、記者会見でもしようものなら、厳しい質問が飛ぶはず。米国で「戦狼」的な言動が出来るわけが無い。この溜まりに溜まった鬱憤は、弱い日本や韓国で晴らそうとするのが普通。

 

林外相はきちんと反論したのかな?

 

秦剛外相からの日本政府への要求に対して、林外相はちゃんと反論したのか?と心配する報道もあったが、私もそう思う。お坊ちゃんは、面倒なことが嫌なので、相手が要求してきたことをスルーしたのでは?と思ってしまう。それに、林外相の訪中が計画されているので、中国への反論や要求は腰砕けになりそう。

 

ビザ発給を一時停止したのは秦剛外相では

 

これらの事実から、米国との外交は中国共産党が行い、日本との外交は中国外務省が行っていると推測できる。ということは、中国へのビザ発給を一時的に停止したのは、やはり戦狼外相の秦剛氏と推測するのが妥当。秦剛外相は米国に対する鬱憤を、御しやすい日本に向けて来るので、日本への揺さぶりは今後も続くと思う。

 

2023年2月4日

2023年2月5日 「カウンターパートナー」は間違っているようで、「カウンターパート」に変えました。