「中国で大事故はなぜ少ない?(上)日本の大事故」の続きです。
上記ブログでは、昭和の戦後の重大事故を出来る限りリストアップした。日本では、数十人以上の死者が出る事故(自然災害を除く。人災というべき事故)が戦後に多発していた。
今回のブログでは、中国における重大事故を取り上げ、日本と比較してみる。
フロリダでコンドミニアム、ワシントンでビルが倒壊
フロリダでコンドミニアムが倒壊
その前に、参考としてアメリカの例。TVで報道されたように、フロリダの海岸沿いに建っている築40年のコンドミニアムが倒壊した。実際に居住していた人の実数がわからないけど、行方不明者が150人以上いると報道されている。監視カメラの映像では、三棟ある建物の内、二棟があっという間に崩れた。
前にも書いたけど、アメリカで建築中の5階建ての建物を見てビックリした。鉄骨の細いこと。確かに地震が無い地域では、地震による揺れは考えなくてよいので、こんな細い鉄骨でも大丈夫と一応納得した。しかし、フロリダのビルの倒壊は鉄骨が細いからでは無さそう。
強風で首都ワシントンの5階建てビルが倒壊
これは重大事故ではないけど、強風でビルが倒壊するというビックリする話。7月1日のロイターによると、首都ワシントンの5階建てビルが強風で倒壊し、作業員が一時閉じ込められた。さすがにこれは日本では無いよね。足場が崩れることはあるけど。
中国の重大事故
ここから本題。中国の事故を見ていく。(私が調べた範囲なので、漏れはある)
①中国の炭鉱、鉱山事故
・重慶のガス爆発事故で、死者22人
昔、炭鉱だったか鉱山だったかで爆発事故のニュースが出た記憶があるが、何百人もの人が死亡したような事故ではなかったような?
日本の炭坑は地下深い坑道を掘削するので、可燃性ガスの突出や岩盤の崩壊が起きやすい。したがって、日本では必然的に事故が多くなる。中国の炭鉱や鉱山が、露天掘りなのか深い坑道なのか、それらがどれほどの比率なのか詳らかではない。
その前提で、過去の日本と比べて中国の炭鉱や鉱山事故の報道が少ないと思う。しかし、中国でも炭鉱や鉱山は辺鄙な場所にあることが多いので、隠そうとすれば隠せるので、本当のところは分からない。
②中国の爆発事故
・2014年8月12日、天津市の危険物倉庫
爆発が2回発生、死者165人、行方不明者8人
・2015年8月に天津市の危険物倉庫
大爆発が起き、死者165人、行方不明者8人、負傷者798人を出した。もっと被害が大きい可能性があるけど・・・?
・2019年3月21日、江蘇省塩城市の化学工場
爆発が発生し、死者64人、行方不明28人。
・2019年3月21日の河南省・義馬ガス工場
爆発が起き、死者12人、行方不明3人。
中国の爆発事故は比較的多い印象がする。爆発事故は都会部に多く、目立つので隠蔽するのは難しい。しかし、被害が少ないように、情報を抑えることは出来る。
③中国のビル火災
・2010年11月 上海の28階建て高層アパートで火災が発生し、約60人が死亡。
・2016年5月 遼寧省で建設中の高層ビルが炎上した。けが人は無し。
・2021年3月 河北省石家荘にある26階建てのオフィスビルで火事が発生したが、死傷者は無い。外装材が燃えた。
中国では、高層のアパートやオフィスビルが日本より多いと報道されている。それなのに、高層ビルの火事は比較的少ない?し、死傷者も少ない?ように感じる。事故そのものは隠せないけど、被害はある程度隠せる。
④中国の建物の倒壊
・2020年3月 福建省で7階建てのビルが倒壊。改装工事中。死亡10人、23人捜索中。
・2021年6月 湖南省で7階建てマンションが倒壊、5人が死亡、7人が負傷。このビルは住民らが建てたとか。
これらをみると、中国の建物の倒壊事故の件数は少ないし、死者数も少ないように感じる。高層のアパートやオフィスビルは日本より多いのに? 不幸を囃すわけではないが、死者数を少なく発表しているのでは?という疑問がある。
中国では、粗悪なコンクリートを使用したとか、施工が杜撰なビルが多いと昔から報道されている。これが本当だと、建物の半分くらい(私の印象です)は手抜き工事と思えるのに、ビルが大崩壊したというニュースを聞いたことが無い。何で? 上に書いたように、アメリカでも高層ビルの崩壊は時々起きているが、アメリカの例と比較しても少ない印象がある。 死傷者も少ないような?
手抜き工事をしても、地震が起きない限り崩壊しないのかな? あるいは、もう少し時間が経って老朽化しないと崩壊しないのかな?
⑤中国の船舶事故
あまり聞かない。日本には報道されていないのかな? 中国南部は台風が来るので、船舶事故が日本並みに起きてもおかしくない。それに、漁民は遠洋まで漁に行っていると報道されているので、漁船の事故がもっと起きてもおかしくない。
⑥中国鉄道事故
2011年7月に浙江省温州市付近で在来線型の高速鉄道が脱線事故を起こし、4両が高架から落下し、死者40人、負傷者172人が出た。当局は高架から落下した列車を調査もしないで近くに埋めようとした。1両の定員が約100人らしいので、死者が40人というのは少ないような感じがする。
これ以外に、大きな鉄道事故を聞かない。どうして? 中国の鉄道網は日本の何倍もあるはずなのに? 中国の鉄道に、運行に関わる安全装置の設置が進んだ? それとも、列車の運行頻度が日本と比べて大幅に少ないから?
⑦中国の航空事故
中国で大きな航空事故をたまに聞くが、Wikiで調べると日本と同程度の飛行機事故が起きている。それでも中国の国土の広さや人口の多さから考えると、日本の1/10程度の大事故しか起きていない。
いくら中国が隠そうとしても、民間航空機の事故は隠せない。中国の民間航空機のほとんどは西側のメーカー(ボーイングかエアバスか中小型機メーカー)の飛行機だから。
⑧中国のロケット事故
1996年2月、西昌衛星発射センターから打ち上げられた「長征3号B」が近隣の村に落下し、新華社は6名が死亡し、57名が負傷したと報じた。しかし、海外メディアによると死亡者は数百人規模であったとみられている。(ニューズウィークから引用)
ロケットの事故は共産党や政府が隠したいけど、国民から目撃され、ネットで広がる可能性が高いので、事故そのものは隠しようがない。それでも、軽度の事故のように見せたい。大事故となると事故自体は隠せないけど、死傷者の数は隠している可能性はある。
⑨中国の人災による重大事故は少ない?
こうして、中国の重大事故(自然災害以外の事故)を見てきたが、アメリカのコンドミニアムの倒壊や今までの日本の重大事故を見ていると、中国で報道された重大事故は少ない感じがするし、被害を受けた死傷者も少ないように感じる。
中国の重大事故は本当に少ないのか、それとも人為的に操作されているのか?ぜひ知りたい。もし、中国の重大事故が本当に少ないのなら、中国の安全システムが優れているのかもしれないし、国民の安全に対する意識が日本よりも高いのかもしれない。
2022年8月20日