百日江よりもっと長持ちする千日紅
兄弟のようにつるんできて、互いを知り尽くした50年来の友。そんな彼の訃報を知らされたのは昨日。
7ヶ月前の逝去であろうとなんであろうと「お線香の一本も上げさせてもらわなければこちらの気持ちが収まらない」「三つも俺より若いのに、黙って先に逝くとはけしからん」とばかりに勢い込んで彼の家を訪ねた。
話し相手に事欠いているらしい奥様から、堰を切ったようにいろんな話が次から次に出てくる。そんな中でも「あの写真を見てください。あの笑顔のまま逝ったのですから、向こうでもしっかり楽しんでいることと思います」と誇らしげにおっしゃる。
逝去から7ヶ月という歳月は、別れの悲しみから立ち直り、自らの気持ちを整理してこれからを生きなければならない独り身の強ささえ感じさせる。
まっこと、彼の人柄・性格そのままに、ふくよかで柔和な笑顔は「さすがは俺の友達」と胸を張れる思いの する遺影である。
「俺に黙って先に逝きおって」と文句のひとつも言いたかったが、それより「俺もしばらくしたら逝くから 遊び場を見つけておいてくれ」と頼むことにして手を合わせた。再び顔を合わせたらまた遠い昔に戻って丁々発止の麻雀や 、あんたもなかなかやるね~などとカラオケに興じるのであろう。
300坪もある広い庭の片隅に、吾亦紅ならぬ千日紅が見事に咲いていた。「この花の咲く間はずっと仏壇に供えているんです」という奥様。
同じような時期に咲く百日紅、サルスベリよりもっと花期が長いのだとか。おすそ分けに少し頂いて帰った。
よく見ると、飾りっ気なくすーっと伸びた一本の茎の先に、一つだけ鮮やかな紫に咲く丸い花。かれの人柄を偲ばせるような花である。
ちなみに千日紅の花言葉は「色あせぬ愛」「不朽 」などとある。彼と彼を取り巻く人たちの感情の交錯のようである。
ひたすら冥福を祈りつつ仏壇に手を合わせた。
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