優勝の瞬間。歓喜の笑顔に玉の汗 勝者、敗者、共に健闘をたたえ合って
高校野球100年という記念の年。第97回全国高等学校野球大会、いわゆる夏の甲子園が先ほど終わった。
いつものことながら、勝って涙、負けて涙。真っ黒いユニフォームの大男たちが流す涙、飛び散る玉の汗には、ついこちらももらい泣きするようなドラマがある。熱烈な高校野球ファンというわけではないが、一野球ファンとして、やはり気にかかる高校野球ではある。
優勝戦は、東北宮城県代表「仙台育英高校」と、関東神奈川県代表「東海大相模高校」の組み合わせ。
どちらも、フロックやラッキーだけで勝ち上がったのではない、文字通り実力のある者同士。接戦、好ゲームが予想された。
案の定、手に汗握る攻防は見応えがあった。
戦えばどちらかが笑いどちらかが泣く。これが勝負の鉄則であることは今さら言うまでもない。
どちらがひいきでもない、全くの平衡感覚の場合、只々いい勝負であることのみに期待する。
今大会の場合も、格別どこのどのチームに期待するということもなかった、というのが大会前の本音であった。
ところが、あのダルビッシュ以来の仙台育英高校が、最後まで勝ち残り、優勝を争うということになれば話は別である。
あの4年半前の東日本大震災を思い起こすと、できることなら優勝旗を仙台に持ち帰って、今一度東北に元気をもたらしたい、と単純ながらそんな思惑が胸に広がる。日本全国多くの人が同じ思いをしたことだろう。
現実はそう思惑通りには行かなかった。勝利の女神は非情であった、というべきか、正常に眺めていたというべきか。
笑顔の中にも涙が見える東海大相模高校ナイン 涙に崩れ落ちる仙田育英高校のエース。
そういえば、45年ぶりの優勝を成し遂げた東海大相模高校には、個人的に秘めた思い出のある高校であることを今思い出した。
職場の中で誰かが声をかけて、とばく開帳図利に抵触しないトトカルチョが始められた。
そのころは、「とうかいおおずもう」という珍しい学校があるものだ、という程度の高校野球認識。
そんな中で、最高賞金を射止めたのが、唯一東海大相模高校に投票したこの手に転がり込んできたのであった。かな
せっかくの神聖な高校野球を、こんな昔の話で台無しにしては申し訳ない。
必死の形相で白球を追い、笑顔と涙にくれる甲子園球児の夏が終わったのは、少し淋しい気がする。
プロ野球広島カープの不甲斐無い試合を見せられると、その感ますます強しである。