夕方7時、NHKのトップニュースが連日日本列島の猛烈な暑さを取り上げている。
猛暑と言う言葉に続いて出てくる地名も、いつしかお馴染みになってしまった感もあるくらいだ。
本州の西の果てここ山口県でも、連日の猛暑日には閉口しているが、その中でも岩国市広瀬と言った地名が今や猛暑の常連さんとして地名があげられる。
もう少しいいことでNHKのトップニュースに乗れば、知名度も上がって観光行政も潤うのかもしれないが、暑い暑いと言われると、やはり避けて通りたくなるのが人情であろう。
それにしても暑い毎日。かつて “念力がゆるめば死ぬる暑さかな” という句にえらく共感を覚えたが、昨年も今年も全く変わらない暑さではある。
少しでも風が入るように玄関ドアを開けておいたら、ツバメが暑さを避けて入り込んでくることがよくあった。
彼らは他人の家をも顧みず、無遠慮に飛び回りながら糞尿を振りまく。そのたびに真白い壁面に見事な?気色悪い紋様を残す。
だから、ツバメが入ってくると極力追い出すようにしている。
今年の避暑来客は珍しく、オニヤンマトンボがやってきた。
吹き抜けの玄関から二階に通じる白壁に、悠然とというか、やっとあの陽射しから逃れた安堵感とでもいおうか、羽を休めている。
来る者拒まず、と言いたいところだが、ツバメの糞尿の如き実害をもたらす者は避けなければならない。やぶ蚊もそう。
ただこのたびのようなトンボなどにいっときの涼しさを提供するのは一向に構わない。
こちらも悠然と構えていたら「じいちゃん、あれとって」と半べそでジジに訴える2歳の姫孫。
「とって」という彼女の訴えは、捕まえて欲しいとは全く違う「早く追い払って」と必死で頼んでいるのである。
何かにつけてこわいものが多く、特に動く者は全て一瞬たじろぐ性格。
かといって、トンボにとってはようやく見つけた暑さしのぎの場所。追い払うのも気の毒で「大丈夫よ、トンボだから」と説き伏せる。
これが娘方の三兄弟だったら、三人そろって「じいちゃん捕まえて」というに違いない。どうかしたら自分たちで脚立を持ちだす勢いであろう。
同じ孫でも、男と女の違いを見せつけられる。
そんなジジの思惑を尻目に、しばしの涼をとったトンボはどこかに消えた。
あのトンボでさえ暑いのだ。人間が辟易するのも理の当然。こまめに水分。エアコン活用。熱中症に用心を、ご同輩!