漫画家アシスタント物語

漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。

漫画家アシスタント 第8章 その17

2010年10月06日 03時09分00秒 | 漫画家
( この写真は、東京、池袋の北口にある「へいわ通り」の路地なのですが・・・一見して普通の・・・まっ
 たく普通の住宅街に見えるのですが・・・・・夜になると雰囲気がすっかり変わります・・・・・その夜の
 写真は次回に・・・・《 2010年9月、撮影 》 )
  
  
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
 
 
                 その17  
  
   《 漫画家アシスタントが・・・身体障害者を案内する・・・! 》
 
 
身体障害者が出て来るドラマやドキュメンタリー番組のほとんどは、障害者を「 悪
者 」として表現する事は少ない( 最近は、皆無 )と思います。
 
障害者への差別がない様に配慮されているのだと思いますが・・・実際には、全て
の人が「 善人 」だったり「 正直者 」であったりするわけがありません。
 
健常者とまったく同様に、ほとんどの人は「 善人 」なのですが、極々一部の人は・・
・・・困った人なわけです。
 
私が店番をやっている時に、耳の不自由なお客さんが来店した事がありました・・・
 
私の言葉がまったく聞こえないだけではなく、このお客さんが喋る時にも障害があ
って・・・少し、聞き取りにくかったのです。でも、私は、スケッチブックを利用し
て、絵を描いたり、文字を書いたりして筆談しながら楽しく応対した事がありまし
た。 この時の、このお客さんの嬉しそうな顔を今でも忘れる事ができません。
 
そう・・・ほとんどのお客さんは・・・いい人ばかりでした・・・・・
 
 
私がその・・・問題の・・・お客さんを見たのは、2度目の来店時だったと思います
・・・・・( ここからは、設定など若干変更して書かせていただきます )
 
長髪の髪に少し白髪がまじる中年のそのお客さん( 一見すると内田裕也風 )はサング
ラスをかけていました。 ややメタボタイプで赤っぽい派手な格好をしている感じは
デザイナーを想像させるのですが・・・・目が不自由なお客さんでした。
 
お店( ※参照 )の玄関で白いステッキをあずかり、待合室の椅子に案内する時には、
私が手を引いてあげたりしたものでした・・・
 
マッサージを終えて、玄関でこのお客さんを見送る時・・・ドアを開け、マンショ
ンの廊下へ出るその時に・・・
 
 「 外まで、ご一緒に・・・ 」
 
・・・と、私は、外の通りまで付き添って行こうとしたのですが・・・
 
 「 大丈夫です 」
 
と、手で制されます・・・私は、来店のお礼を言いながら、白いステッキをついて、
廊下を一歩・・・一歩・・・歩いて行くお客さんを見送ったのでした。
 
嬉しい事に、このお客さんは一ヶ月に一度は来店してくれる常連さんになってくれ
ました。
 
しかし・・・・・担当するマッサージ師さん( ※参照 )には評判が良くないのです・・
・・・・
 
 「 目付きが変デス! 」
 
 「 だって、目が悪いんだから・・・ 」
 
 「 知ってるヨ、社長( ※参照 )。 でも変ッ! ・・・あの目! 」
 
どうも、彼女たちの話によると・・・通常、目の不自由な人の視線は、上の方を見
たりしている事が多いのですが・・・・
 
このお客さんの視線は、マッサージ師のバストや下半身に吸い付いている様だと言
うのです・・・・
 
しばらくして、さらに悪い評判が聞こえてきます・・・・・
 
 「 あのお客さん・・・Hですヨ、社長! 」
 
 「 エ・・・エッチ~ィ? 」
 
 「 こうやって・・・胸、触るデス! 」( 正面からワシづかみする感じ )
 
 「 ええ・・・ッ!? 」
 
 「 なんで~、胸が見えるデスカ? 」
 
 「 ・・・な・・・何となく・・・分かるんじゃ・・・ないの・・・・? 」
 
マッサージ師さんからの評判が悪くても、お客さんですから来店を断る事など出来
ません・・・・。
 
お触り好きなスケベ爺は、珍しくもないですので、ここはいつもの様に・・・
 
 「 不愉快な事があったら、ハッキリと断って下さい。注意しても不愉快
   な事を続ける様な場合は大きな声を出したり、ママさん( ※参照 )を
   呼んだりして下さい 」
 
・・・ってな、お決まりの注意事項をマッサージ師さんたちに話したりしたのです
が・・・・
 
それからすぐ・・・私も、このお客さんがまったく信用できなくなる・・・そんな
光景を目撃する事になりました・・・・
 
 
ある朝の事・・・
 
お店がある池袋北口の商店街「 へいわ通り 」( ※参照 )を歩いている時でした・・・
 
向こうから歩いてくる・・・あの人は・・・・
 
 『 ・・・目の見えない・・・常連さんだ・・・! 』
 
私は、その姿を見て一瞬、唖然とします・・・・・
 
 『 ・・・・あれェ? ・・・今日は、サングラスをしてないなァ~・・・・ 』
 
目の見えない常連さんが、普通にスタスタと歩いて来る・・・・!
 
 『 ス・・・ステッキも・・・持って・・・・・・・ない!? 』

杖もなしに人ごみの中を歩いている・・・・

 『 ・・・まさか・・・目が治ったのか・・・??? 』
 
 
 
            「 漫画家アシスタント 第8章 その18 」 へつづく・・・


                ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第8章 その16」へ戻る 】

 
 
 
 【 ※参照 】
 ・お店・・・・・・池袋北口に開いたタイ式マッサージ店(04~09年)。2000年頃からの
  エスニックブームで、新宿、新橋、池袋などを中心にポツリポツリと開店し始
  めた施術院。(風俗店ではありませんが、盛り場辺りには、怪しげなお店も・・・)
 ・マッサージ師さん・・・お店には常時3~5人のマッサージ師が待機。1日に1~3
  人のお客さんを施術。全員がタイ人女性でタイマッサージ学校を卒業・・・タイで
  は、めずらしくありません。日本人と結婚、就労の出来る在日ビザを持っている。
 ・社長・・・・・マッサージ店の代表。普段は漫画家アシスタント。拙ブログの著者。
 ・ママさん・・・私の妻。タイマッサージ店を切り盛りする。1995年、タイのチェン
  マイ出身。1995年に結婚して来日、とても明るいが・・・いったん怒ると鬼より怖
  い。酒を飲んだら乱暴者。
 ・へいわ通り・・・・池袋北口にある地味な商店街。商店といっても惣菜屋さんや 
  八百屋さんなどが並ぶ賑やかさはない。赤ん坊を抱いた主婦や子供の姿は
  皆無の商店街。
 
 
 
 
【 各章案内 】  「第1章 その1」  「第2章 その1」  「第3章 その1」
          「第4章 その1」  「第5章 その1」  「第6章 その1」
          「第7章 その1」  「第8章 その1」
          ( 但し、第1~3章は『縮小版』になります )
   
  
コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする