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バナナの皮はなぜすべるのか? 黒木夏美

「落ちているバナナの皮に滑って転ぶ」という世界共通で昔からある定番ギャグのルーツを探る一冊。「バナナの皮は本当に滑りやすいのか」という日本人の研究がイグノーベル賞を受賞したという話は聞いたことがあったが、本書はそれとは別物だ。過去の文芸作品や映像作品を徹底的に調査する著者の執念には心底敬服するが、自分自身にはそこまでの思い入れがないせいか、最後の方は読んでいて少し飽きてしまった。著者の話は、「バナナの皮で転ぶ」という話に止まらず、「バナナの皮を食べる」という話が世界の「貧困」の象徴として語られているという事例とか、芭蕉の木が「Japanese banana」と言われていることなどに及ぶ。自分自身としては、そのあたりの少し脱線した話の方が面白く感じられた。(「バナナの皮はなぜすべるのか?」 黒木夏美、ちくま文庫)

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