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人間の居場所 田原牧

ノンフィクション賞を受賞した作家で色々ネット検索していたら本書に行き当たった。著者のこれまでの仕事やそれ以外での経験のなかで得たアウトサイダー的な人物や事象との関わりを通じて、現代社会に潜む様々な断絶を深く考察したエッセイ集だ。語られる社会的事件への視点や感想を読んでいると、ほぼ同世代ではないかと思われるような強い共感を感じた。一方、本書を読んでいると、帯に掲載されている作者の写真を見ると女性なのだが、何だか男性の文章のような気がしてきた。著者の年齢と性別がとても気になったので、ネット検索してみて驚いた。まず年齢は私より6つ下で同じ歴史の空気を吸ってきたといってぎりぎりセーフというのは案の定ということなのだが、出身校が私と同じ。6つ違いなので中高一貫校でも同時期に通学していた時期がないとはいえ、道理で同じ空気を吸っていたという強い共感を感じたわけだ。もう一つ驚いたのは、著者がトランスジェンダーだということ。これは第2章で本人の筆でもそう書いてあった。著者と自分では卒業後の経歴も全く違うのだが、同窓の絆というのは強いんだなぁと、妙に納得した1冊だった。(「人間の居場所」  田原牧、集英社新書)

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