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爪と目 藤野可織

今年の芥川賞受賞作他2編の話題作。受賞作である表題作は、書き捨てるような独特の短い文章と、しっかりした内容に惹きつけられる魅力的な小説だが、おまけのように掲載された他2編の方も、独特の文体ではないが、作者が何を書きたかったのかがはっきり判るようで、自分には合っているような感じの作品だ。受賞は表題作でも、作者の魅力という意味では、3編を全部読むのと表題作だけを読むのとでは、全く違う印象を持つのではないか。これらの作品や著者に対する受賞前の評価がどうだったのかは知らないが、やはりこれからどういう作品が出来上がってくるのか、そこが一番気になる作家だと思う。(「爪と目」 藤野可織、新潮社)

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