燃えるフィジカルアセスメント

総合診療医Dr徳田安春の最新医学情報集

前回ケース(その3)の経過と解説

2018-04-26 | 勉強会
 
みなさん、こんにちは。
 
 
では、前回ケースのその後の展開をみてみましょう。
 
 
 
かかりつけ医では「頭部CT検査と腰椎穿刺が必要」と考えたが、病院へ来院時、上肢の脈拍は触知可能であるも、微弱にて血圧測定できず。
 
 
 
いわゆる「ショックバイタル」でした。
 
 
 
急性病態ではまず、バイタルサインの測定が必須です。
 
 
「ショック」が原因で脳血流の低下により「次的に」意識障害・けいれんを生じていたのです。
 
 
 
 
「血圧低下+脳血流低下徴候」の患者においては、「ショック」に対する診断的評価を優先的に行うべきです。
 
 
 
 
この症例のような心臓血管系の低容量性ショックの急性病態では、急性大動脈解離と大動脈瘤破裂を見逃さないことが重要です。
 
 
 
 
そのためには血圧と脈拍の対称性symmetryを確認する。
 
 
すなわち、「対称性の破れ」がないかどうか、四肢の脈拍を触知します。  
 
 
 
 
心臓血管系の急性病態で両下肢の脈拍が減弱したり、上肢の片方の脈拍が減弱したりしている場合には、急性大動脈解離と大動脈瘤破裂を疑います。
 
 
 
 
「対称性の破れ」とは、量子力学の用語であり、素粒子レベルでは「対称性の破れ」があるため、宇宙が創生されたとのことですから、重要な概念です。
 
 
 
 
この症例ではまず、ショックバイタルに対する初期対応として18ゲージで2本の末梢静脈ラインを確保急速輸液が開始され、ベッドサイドエコーにてすみやかに「腹部大動脈瘤破裂」が診断されて、手術室へ直行となりました。
 
 
 
 
最終診断:腹部大動脈瘤破裂
 
 
 
 
写真   都内の公園

 

 

一昨日のこのメニュー

なんと、500キロカロリーちょっとしかありません。大変満足でした。

 

 

病歴と身体所見の診断学: 検査なしでここまでわかる (ジェネラリストBOOKS)
 
医学書院

 

好評のメルマガ「ドクター徳田安春の最新健康医学」の最新内容を厳選編集した本の最新版「知っておくと役に立つ最新医学2018」が出ました。一般の方々の役に立つ最新医学知識を満載。グローバル・スケールでの先端医学のホットな話題もわかりやすく解説。特徴はテレビや新聞より早いグローバルな情報、科学的に正確なエビデンスに基づく情報です。

 

徳田安春、荘子万能の「徳田闘魂道場へようこそ」こちらポッドキャストにて配信中、是非お聴き下さい。

 

科学的根拠に基づく最新医学情報とグローバル・スケールでの先端医学のホットな話題を提供し、わかりやすく解説します。メルマガ「ドクター徳田安春の最新健康医学」。2017年のメルマガまぐまぐ大賞「健康」部門第4位に選ばれました。

 

臨床推論の総論とピットフォールをマンガでサクッと1時間以内に習得できます。エキスパート診断医への一歩を踏み出すことができます。「マンガ臨床推論~めざせスーパージェネラリスト~」こちらも合わせていかがでしょうか。

 

こんなとき フィジカル1と2」立ち読みできます。是非どうぞ。

 

一般向け健康情報ブログ「総合診療医からの健康アドバイス」。こちらもご覧下さい。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 循環器フィジカル:ケース3... | トップ | 循環器フィジカルケース4:... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

勉強会」カテゴリの最新記事