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生活習慣病 高脂血症2 連載 その65

2013-09-16 | 本の紹介

 前回に引き続き、生活習慣病の予防法と治療法について考える、今回も高脂血症です。

 高脂血症の治療は、最終的には心臓病や脳血管疾患などの心血管疾患を予防することがゴールになります。 そのため、前述したCAD危険因子の改善・治療を総合的に行うことが重要になります。

 体脂肪率の減少、2~3kgの減量で大きくコレステロール値が改善することもあり、薬物療法の必要性にかかわらず、食事療法、運動療法などの生活改善が重要になります。

 食事療法についてですが、CAD危険因子の改善・治療の方法に加え、総カロリーを制限します。 必要な総カロリーは生活活動強度により変わってきますので、以下の式を使って自分の活動度にあわせ一日に必要な総エネルギー量を計算してみてください。

 総エネルギー量(カロリー)=標準体重(kg)×生活活動強度指数(カロリー)

 生活活動強度指数(カロリー)は以下のとおりです。

 ●軽い労働(デスクワーク、家事など)=25~30

 ●中等度の労働(飲食店、販売業、製造業など)=30~35

 ●重い労働(建築業などの肉体労働、農業、漁業など)=35~40

 たとえば、標準体重50kgの主婦の場合、一日に必要な総エネルギー量は50kg×25~30で1250~1500カロリーとなります。

 高脂血症の治療は、食事療法、運動療法を取り入れた生活習慣の改善のみでは不十分なこともあります。 基礎疾患(高血圧、糖尿病、冠動脈疾患<CAD>、腎臓病、大動脈瘤、末梢血管疾患既往者)やLDL(悪玉)およびHDL(善玉)コレステロール、トリグリセリド(中性脂肪)の測定値、喫煙の有無などを含め、総合的に判断し薬剤が必要であるか判断します。

 糖尿病、CAD、脳卒中を基礎疾患としてもつ場合やCADの危険因子を多数もつ場合にはただちに薬剤の適応になる可能性もありますので必ず医師に相談してください。

 今回はこの辺で、高脂血症(脂質異常症)については今回で終了ですが、とくに気をつけていただきたいのは、LDL(悪玉)コレステロールの値です、検査を受けた際には必ず確認してください。 次回は糖尿病の予防法と治療法について考えていきましょう。

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