ポリファーマシー(多剤併用)が世界中で問題となっている。
ポリファーマシーは、不適切処方を生じるリスクが高く、薬剤性の有害事象を生じる最大のリスク因子である。
ポリファーマシーの原因には様々なものがあるが、主要なものは3つと考えられる。
最大の要因は、ガイドラインなどによる薬剤の推奨、である。
高齢患者は、様々な併存疾患を有するのが一般的である。
たとえば、高血圧、脂質異常症、COPD、狭心症を有する患者では、1疾患に1種類の薬剤を処方しただけでも4種類の薬剤が処方されることになる。
1剤でコントロールが悪い場合に、ガイドラインに従い別の薬剤を追加したら、さらに併用薬は増えていく。
2つ目の原因は、患者の希望である。
対症療法薬では睡眠導入薬や抗不安薬としてベンゾジアゼピン系薬がよく希望される。
薬に対する依存と期待がある。
急性上気道炎のほとんどはウイルス性であるが、抗菌薬がよく希望される。
万が一のためのためという恐怖からきている。
そして3つ目は、処方カスケード(prescription cascade)。
カスケードは滝という意味だが、ここでは、ある薬剤によって出た症状に対してある薬剤が次々と「滝」のように追加されることを意味する。
ある薬剤による副作用に対症療法的に薬剤が処方され、さらに副作用でドミノ的に処方される場合である。
これらの原因から、多くの高齢者が多剤を併用している。
先進国では、高齢患者の約30%がポリファーマシーの状態にあるとの指摘もある。
写真:本島北部名護市の海岸
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