燃えるフィジカルアセスメント

総合診療医Dr徳田安春の最新医学情報集

生活習慣病 肥満3 連載 その70

2013-10-04 | 本の紹介

 前回に引き続き、肥満について考えていきましょう。

 リラクゼーションやスポーツなどをしてストレスを軽減することも有効な肥満対策になります。 ストレスが多い人は心療内科なども受診してみましょう。

 次に運動療法について考えていきましょう。

 ●活動的な生活をする…テレビをみる時間を減らす、車を利用せず歩く、エスカレーターやエレベーターを使わず階段を利用する、掃除、草むしりなどで積極的に身体を動かすなど

 ●有酸素運動を行う…30分以上の有酸素運動を、最低でも週5回以上行う。 早歩き、ジョギング、水泳、サイクリングなど

 これらは個人が単独で行うには限界があるかもしれません。 食事療法との相互作用もあるので、専門家の指導を受けながら行うとよいでしょう。 減量後の体重維持も重要です。 リハビリテーションなどを利用し、減量するのもよいでしょう。

 これらの療法を行うとき、段階的目標を設定して、それを達成したときに報酬を設定するのも効果的です。 ただし、あまり高すぎる目標を設定しないこと、報酬は食べ物ではなく、洋服などの買い物、旅行などにするとよいでしょう。

 また、減量のサポートグループに入ったり、講習会を受けたり、ウェブサイトを利用するなどして、同じ経験・苦労を共有することも、目標達成には力になります。

 ここにあげた食事療法や運動療法の効果が不十分の場合は、薬物療法や外科治療を行うことがあります。

 薬物療法は食欲抑制剤(マジンドールなど)で行われます。 適応されるのは非薬物療法の効果が不十分でBMI35以上の人。 この薬は薬理学的にアンフェタミン類と類似しており、依存性や副作用に注意する必要があります。 また薬剤耐性(使用により効果が漸減する)の報告もあり、長期効果に関しては不確定で、その使用はかぎられます。

 減量手術として胃バイパス術などがあります。 適応されるのは食事・運動・薬物療法のすべてが無効でBMI40以上(米国とアジアでは基準が違います)の人。 ただし、手術に耐えうる健康状態であること、手術による合併症や死亡に対する十分な理解がある人にかぎります。 美容のために行われるものではありません。

 今回のこの生活習慣病に関するシリーズはここまでです。 最近、手や足の小指を物にぶつけることが多くなったなと感じている方は、体重計に乗って下さい、おそらく体重が増えてます。 自分の思った以上に腕や足が外に張り出しているからです。

 次回から高齢者によくみられる疾患について考えていきましょう。

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