燃えるフィジカルアセスメント

総合診療医徳田安春の最新医学情報集。問診、フィジカル、医療安全、EBM、臨床研究に強くなれます。

座談会

2015-04-21 | 徳田語録

 今回は、「これからのプライマリケア医に必要なこと」と題しての座談会から、抜粋してお送りします、ではどうぞ

 DynaMedをよく使いますが、信頼性を重視してます。例えば、N Engl J Med誌やAnn Intern Med誌などは、ものすごく査読が厳しく、かなりの信頼性がある。それに、感染症ならJohn G.Bartlett、せん妄ならSharon K.Inouyeが書いていれば、その学問分野を地球上で最も知り尽くしている人が書いているということになるので、非常に信頼性が高いですね。

 日本の参考書や教科書にそういう査読があるのかどうか。書いている人がどういう人なのか、バックグラウンドが分からないということがあります。

 日々の情報収集は、例えば、DynaMed、Best Evidence、UpToDateの中で、どれが一番早くCochrane Collaborationの最新ガイドラインのrecommendationをupできているかというものが最近のBMJ誌に出ていたのですが、それではDynaMedが一番でした。

 私も以前からDynaMedを使っていて、そういう気はしていました。早ければ良いというものではないかもしれませんが、目の前にいる患者に、その時点でベストなエビデンスを適用してあげたいという思いは、医師であれば誰でも持っているのではないでしょうか。そういった努力はすべきだと思います。

 ガイドラインは本当に必要?との問いに

 ガイドライン以外でも、例えば糖尿病でいえば、ピオグリタゾンという薬があるのですが、その前にトログリタゾンという薬がありました。N Engl J Med誌に掲載され、RCTもあり、これは非常に良い薬だとなりました。それで日本でも頻用されたのですが、使用後に肝障害例や死亡例が多く出て、結局発売中止になったのです。

 最近では、ピオグリタゾンも膀胱癌との関連が認められて、フランスで発売中止になりました。浮腫や心血管イベントの問題も出てきています。

 こういうこともあって、たとえN Engl J Med誌に載ったからといっても、私は基本的に新しい薬を発売後1年間は原則として使わないと決めたのです。

 N Engl J Med誌は査読が厳しいのでは?との問いに

 それはレビューに関してです。FDA(米国食品医薬品局)の担当者から聞いたことがあるのですが。しっかりしたRCTが2つないとFDAは認可しないそうです。N Engl J Med誌のトリグリタゾンの論文ではかなり大規模なRCTがなされたと思いますが、それだけで本当に信頼して良いものなのか。RCTはいろいろな思惑があってやられていることがあるので、そういうことを考えるとやはり2つは必要と考えます。メジャーな雑誌に出たRCTだからそれが信用できるかというと、むしろ新しいものに関しては少し慎重に対応します。

 インフルエンザに関しても私は新しい薬であるイナミビルは使わない。WHOとCDCが推奨しているのは、オセルタミビルとザナミビルですから。

 新しい薬にすぐに飛びつかないということは、自分のポリシーにしています。結果的に良い薬であったことがほとんどだとは思いますが、今まで何回もトログリタゾンのような例があったので。

 今回は以上です、話変わって、日本ハムファイターズの大谷投手は日曜の対楽天戦で4安打完封勝利をあげました、だんだん怪物振りが現れてきてますね、末恐ろしい限りです、では、次回に。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Fever workup 2015 解答編 | トップ | 座談会 2 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

徳田語録」カテゴリの最新記事