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骨は大切 連載 その76

2013-10-25 | 本の紹介

 高齢者によくみられる疾患の予防法と治療法を考えるシリーズ、今回は骨粗しょう症について考えていきましょう。

 骨密度が低くなり折れやすくなる骨粗しょう症。 あらゆる人種のなかで白人閉経後女性が、骨粗しょう症および関連骨折に罹患するリスクが最も高いことが知られてますが、日本人(アジア人)ももともと成長期後半(20~30歳)に到達する最大骨量が低く、白人と同様にリスクが高いことがわかっています。 

 骨粗しょう症は非外傷性骨折の主な原因となっており、わずかな外力によって発生した骨折を「脆弱骨折」といい、高齢者にみられます。 代表的なものに「脊椎圧迫骨折」、股関節の「大腿骨頚部骨折」、手首の「とう骨遠位端骨折」「上腕骨頚部骨折」があります。

 骨粗しょう症の症状は、通常脆弱骨折を起こすまでは無症状です。 骨折を起こしても明らかな症状がみられないこともありますが、身長の低下、背中・腰がまるくなる(猫背)、安静で和らぐ背中・腰の痛みなどがみられることがあります。 背中・腰がまるくなると、呼吸機能障害や胃食道逆流現象などを引き起こすこともありますので要注意です。

 少しまえの国民生活基礎調査で、65歳以上で寝たきりになった主な原因は、脳血管障害30・3%、老衰14・9%、認知症12・2%、骨粗しょう症・転倒11・7%であり、ここからわかるように、骨粗しょう症による骨折および転倒による骨折が寝たきりの四大原因の一つになっているのです。

 さらにアメリカの研究では、股関節骨折を起こした高齢者の約25%が、骨折後一年以内になんらかの原因で死亡しているという大変恐ろしい報告もあります。 寝たきりになり、食事摂取不良、誤嚥性肺炎を含む感染症などさまざまな合併症をきたすからです。

 骨粗しょう症の診断は、骨密度の測定あるいは脊椎X線像を確認したうえで行われます。 同時に、閉経後・老人性以外にも骨粗しょう症の原因として、全身疾患である関節リウマチ、肝硬変、糖尿病、甲状腺機能亢進症などの代謝性疾患、ステロイド剤や免疫抑制剤、抗けいれん薬の服用、悪性腫瘍の骨転移、多発性骨髄腫など、年齢に関係なく骨密度を呈する二次性骨粗しょう症を起こす全身疾患もあり、原因の鑑別が必要になります。

 今回はこの辺で、雨の日、靴底がつるつるの履物をはいてスーパーやディスカウントショップなどのぴかぴかとした床のお店に入る時など、汚れを落とすためのマットからぴかぴかの床に足を出した瞬間、こけて、股関節頚部を骨折、実はよくあるんです、皆さんも注意してください、以外に元気良く歩かれる方が多いようです。

 次回も骨粗しょう症について考えていきましょう。

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