ふぇみにすとの雑感

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進化論とカンザス州

2007-01-21 00:08:50 | 教育問題
所用でカンザス州に行って来た。
アメリカのど真ん中、竜巻がくるオズの魔法使いの世界の州であり、"Red State"として知られるところだ。

そして、進化論を州の公立学校で教えるべきかどうかの議論で、注目を集めてしまった州でもある。
州の教育委員会が保守派が支持により、進化論を州の教育カリキュラムから排除する決定を行ったのだ。最近の最近の動きに関する、AP通信による報道によれば、2005年に共和党が多数派となった教育委員会決定として、進化論は問題がある理論であり、宗教の影響を色濃くもつIntelligent Design (ID)論をすすめる派が求める表現をとりいれた標準が導入されたが、昨年の選挙により、民主党と共和党穏健派が多数派となったことで、また進化論をとりいれる方向に決定が変わるだろうと言われているようだ。

カンザスで子どもを育てている人たちの話では、カンザス州内でも進化論を教えるかどうかの状況が地域によっても違うという。保守的な地域ではあまり教えられないが、比較的リベラルな地域は大丈夫だとか。そして、やはり昨年の選挙で、様々な地区で民主党が勝った事でかなり政治的な状況が変わり、進化論も教えやすくなるだろうということだった。

カンザスの大学で生物学の基礎講座を教えている人に会ったので、この状況下で進化論を教える経験について聞いてみた。彼によれば、やはり非常に大変だという。進化論を教えないカリキュラムのもとで高校に行ってしまった学生たちは、基礎の基礎から欠けている。まったく何も知らないだけならまだましだが、高校で思い切り進化論がトンデモ理論だと言われまくって来た学生たちもいる。その状況では、抵抗も非常に大きいし、基礎力も完全に欠落しているため、生物学の入門講座は結局進化論の基礎の基礎をさらうだけでせいいっぱい。ほかのことが教えられずに終わってしまうのだと。

この話を聞いて、進化論を教えないカリキュラムのせいで、学生たちの基本的な「科学」の力にかなりの影響が出ているのだなと感じられた。進化論を高校である程度学ぶほかの州の学生たちに比べて、カンザス出身の学生たちは、生物学を学ぶ上で非常に不利になる。生物学の知識は、将来生物学にすすむ学生たちのみならず、農学でも、食物栄養関連でも、医学や看護学でも必要だろう。それを考えるとかなりの影響である。

日本でインテリジェントデザインID説を導入したがっている、統一協会やら産経やらは、日本の科学競争力を落としたいってことになるのだろうな。これは「ゆとり教育」なんかより、圧涛Iにインパクト大きいと思うぞ。

abstinence-only sex education(禁欲主義の性教育)についても、州内の地域差もけっこうあるのではないかとのことだった。ただ、禁欲主義ではない性教育を受ける権利はとりあえずは私が訪問した地域ではあるとのこと。親が、「うちの子どもに性教育を受けさせてください」という書類にサインをして提出すれば、普通の性教育が受けさせられるそうだ。ある意味、親が積極的に自分の子どもの教育に関わる必要があるシステムで、必ずしもそれ自体が悪いとはいえない面もあるだろうが、それにしても、性教育以外の科目で親のサインが必要ってことはあまりないだろうし、変ではあるのだが。

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3 コメント

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Unknown (Yoko)
2007-01-21 13:04:06
カンザスといえば、宗教右派の親玉Brownback上院議員が08大統領選出馬表明した双です…

ここはカンザスじゃないみたいよ。
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Unknown (Yoko)
2007-01-21 13:08:42
ニュースによれば、ブラウンバックさんはこうスピーチしたそうな。

"My family and I are taking the first steps on the yellow brick road to the White House. It's a great journey."

でも、ドロシーは結局オズからカンザスの自宅に戻されるんですよね(笑)There's no place like home.
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Unknown (Yoko)
2007-01-22 15:44:14
Bearsおめでとうございます。
今回のスーパーボウルは初の黒人コーチ対決だそうですね。
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