ふぇみにすとの雑感

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モンタナのローカルメディア状況 その2 新聞編

2014-05-07 01:32:00 | メディア、テレビ

3月にNHKの放送文化研究所の人がボーズマンにいらしたときに同行した、2件目の取材は地元紙の、Bozeman Daily Chronicle(ボーズマン・デイリー・クロニクル。以下クロニクルと略)だった。そこの社長のステファニー・プレスリーさんとのインタビュ―である。クロニクルは一時期はとっていたし、今でも時々ネットでは閲覧している、私にとってもおなじみの媒体。

 

クロニクルは、Big Sky Publishing LLC という企業体がもつ新聞。ボーズマンのほか、ほかの地域の街の新聞をいくつか発行している。そして、シアトルに本社をもち、ワシントン、オレゴン、アイダホ、モンタナなどの新聞を傘下にもつパイオニア・ニュースグループというグループに属する。社員は100人ほどで、そのうち75人ほどがフルタイム。25%くらいが記者や編集者で、あとは広告やセールス担当、経理などのビジネス関連担当者ら等とのこと。記者は、市役所担当、警察担当、経済・ビジネス担当、スメ[ツ担当、アウトドア担当、エンターテイメント担当、教育担当などがいるとのことだ。

こうした小さい街のローカルメディアは、記者にとっては大学やジャーナリズム系大学院等を卒業した直後の、エントリーレベルの仕事であることが多く、クロニクルの場合も、20代の記者が大部分らしい。こうした20代記者らの多くは、2≠R年もすれば、より大きな街の別の新聞へと転職していく。中にはボーズマンに根付いて長年記者活動をする記者もいるが、数少ないとのこと(大学を担当していて私も会ったことがある記者さんは、珍しいベテラン記者らしい)。編集者は3?0代が多いとのこと。

 

「新聞が死に絶えつつある」という評価がある中で、クロニクルは、ローカルのコミュニティのための新聞、という位置づけをより大きなものにしたのだという。これはクロニクルだけではなく、全米の新聞どこもそういう傾向があり、大都市圏の新聞でさえもそうだと思う、とプレスリー社長。そして、ローカルにコミットすればするほど、記者が足を使って動く必要もあるし、お金がかかる。AP通信などから配信される、ナショナルレベルの記事を掲載していたほうが楽だし安い。でも、インターネット時代になった今、ローカルにコミットしないと新聞は生き残れなくなっているので、ネット時代にはいってから、よりローカルの問題を深く扱う調査報道に重点をおくようになったとの説明だった。「コミュニティのための、コミュニティをうつしだす新聞(クロニクル)、コミュニティのための対話の場所づくりをを目指しています」と社長さんは言った。

 

「ボーズマン・デイリー・クロニクルのライバルの新聞はなんですか」と社長さんに聞いたところ、モンタナ最大の都市、ビリングスの新聞、Billings Gazetteかというお答え。ただ、新聞のウェブ版に関していえば、ほかの街の新聞よりもむしろライバルは地元のテレビ局のニュースサイトだ、とのことだった。発生したばかりのニュースを動画で取り上げ、刻々と最新情報を伝えるにはテレビ局のサイトはやはり強いということなのだろう。それとの差異化のためにも、新聞としては調査報道的な記事が重要ということらしい。

 

さて、このプレスリー社長、女性の社長さんである。新聞業界で女性の社長はわりとあることなのか、苦労は何かなど聞いてみた。プレスリーさんはずっと新聞の現場ではなく、経営側のほうの仕事を大学でてから渡り歩いてきたという。女性社長は以前は珍しかったが、今は少しずつでも増えているらしい。ただ、やはり仕事と家庭の両立は大変難しい仕事であり、プレスリーさんがフルタイムで社長業をする傍ら、現在は元記者の夫が主夫として、子育て、家事などをほぼ担当しているとのこと。

  
  プレスリー社長



お話を伺った後、社内の見学をさせてもらった。

 

建物の入り口すぐにあるスペース。経理、総務系の仕事をしている人たちがいるとのこと。


  ニューズルーム。記者、編集者などが働いている。

印刷所のほうも見せてもらった。ボーズマン・クロニクルは印刷も自社内で行っており、クロニクルのほか、地域の週刊の新聞、大学など学校の新聞の印刷も請け負っているとのこと。

 

ところで、時々Twitterで私がRTする、Bozeman Police Reportを流しているのも、このクロニクルである。ャ潟Xレメ[トは、この新聞随一の人気コンテンツだと聞いたこともあったりする。そして、お土産に、ボーズマンャ潟Xレメ[ト本と、ャ潟Xレメ[トTシャツ、そしてイエローストーンの写真集をいただいた。ャ潟Xレメ[ト本も買いたいと思っていたし、Tシャツもひそかに欲しいと思っていたので、嬉しい限り!ただ同行しただけの私までお土産のおこぼれに預かってしまい、そもそも同行者の立場のわりには、質問もけっこうしてしまったという。

 

このャ潟Xレメ[ト本、全国紙で紹介されたこともあり、すでに12000部の売り上げ。10万ドルの儲けになっているという。今出ているのは第二版だが、今後も出し続ける予定とのこと。


軽く一度で終わらせるはずのエントリが長引いてしまっているが、次回はモンタナの商業ラジオとテレビについて聞いたことをちょこっとまとめてみます。