ふぇみにすとの雑感

日々の雑感、テレビ、社会、フェミニズムについてなど。モンタナ発信。

人類学会・続報

2004-10-22 22:25:34 | 人類学
人類学会(AAA)がサンフランシスコで行われないことが決まったので、ホテルをキャンセルせねば、ということで、一緒に泊まるはずだったのりちゃんに電話。のりちゃんが取り扱いオフィスだという、San Francisco Housing Bureauなるところに電話したところ、週末で閉まってしまい、月曜まで開かないという!今日の夕方にサンフランシスコ取りやめメールがきたというのに!そして、月曜までにキャンセルしないと、16ドルの手数料をとられてしまうというのだ。
何ということだ。
代金たてかえてくれているのりちゃんに忘れずに月曜日に電話してもらわねば。しかし、月曜に全米の人類学者からの電話が殺到するんだろうなあ。電話、通じるんだろか。

そして思い出したぞ!バカ高かった(160ドルくらいした)registration feeが、しっかり前払いでとられていたのだ!アトランタの会議に行かない/行かれない人もたくさんいるだろうに、あああ、ボロ儲けだわAAA。でも、自分が損するにしても、倫理的に正しい、ホテル労働者のためになることのためなら仕方ないかとも思うが、結局アトランタヒルトンでの開催じゃあ、ヒルトン自体への打撃もないし、意味ないよねえ。
飛行機代をマイレージで予約していたため、キャンセルが簡単だったことだけが唯一、ラッキーであった。

このアトランタ会議に行くべきか行かないべきか、悩むところだ。

サンフランシスコ・ホテルストライキと人類学会

2004-10-22 20:10:24 | 人類学
サンフランシスコの4軒のホテルにて、ホテル労働者組合の労働協約の交渉が暗礁に乗り上げているため、労働者たちによるストライキが行われた。その後、同じ組合に属する従業員を抱える10のホテルが労働者たちをロックアウトして、組合員労働者たちは職場であるホテルに入れない状況が続いているという。(ロイター発信のニュース)

このうちのホテルのひとつがサンフランシスコ・ヒルトン。そして、このヒルトンにて、今年のアメリカ人類学会が11月17日から21日の日程で行われることになっていた。その矢先のこのストライキ&ロックアウト。労働者たちはホテル前でピケをはっているという。

ホテルはいちおう辛うじて機能しているらしいのだが、この状態のホテルで果たして学会を開いてもいいのか、という議論が、ここ数日間、人類学コミュニティーで飛び交っていた。ロックアウト中のホテルで、労働者によるピケを横切って学会を行うことで、ホテル経営者側をサメ[トすることになるからだ。組合に学会がコンタクトして交渉していたようだが、組合側はあくまでも、サンフランシスコヒルトンでの学会開催をキャンセルすることでしか、労働者たちをサメ[トすることにはならないという立場を貫いていた。

社会的弱者への視点をもった学問であるべき人類学の学会が、ロックアウト中ホテルで「ピケを横切って」学会を行うことの矛盾。マルクス主義者も多く、おそらくストライキ中の労働者の中に多くいるであろう、移民問題を扱う研究者たちも多い学会。また、自らが教員組合に入っている学者も多いだろう。ここで学会を開催してしまっては、理論と実践があまりにかけ離れるという矛盾だらけの事態を招き、倫理的にあまりにマズい。

そこで、会員へのウェブ・アンケートが行われた。チョイスは3つ。1 学会自体をキャンセル、2 近隣のサンノゼに会場をうつして学会を行う 3 サンフランシスコ・ヒルトンで学会を行う。そして私はキャンセルかサンノゼ案を支持する意見を提出した。

そして、つい先ほど結果がメールで送られてきた。やはりキャンセル案、サンノゼ案が大半を占めたらしい。サンフランシスコ・ヒルトン案の人もまだまだけっこういたようだけど、結果としては、人類学者たちはまだ政治的にまともだったようだ。

だが、ここでどんでん返しの展開が!サンフランシスコ・ヒルトンをキャンセルすると経済的に大損し、ヒルトンから訴えられてますます損失が出るという人類学会がヒルトン側と交渉して、会場をアトランタ・ヒルトンにうつすということで決着をはかったのだ!そのかわり、アトランタで開催される予定だった2006年の学会がサンフランシスコになるという。そして皮肉なことに、このアトランタ・ヒルトンの労働者たちは組合組織化されていないらしい(=サンフランシスコより余計悪い労働状況の可能性高し)。実は人類学会、まともでもなくて、やはりビジネスが優先された結論だったのか。

そして、学会の時期も12月の半ばに変更されてしまった。ああああ、その頃日本に行く旅程をたてていたというのに!予定丸くずれだ~。私は就職活動のために学会に行かねばならないという弱い立場なんだよなあ。何て事だ。

続報:やっぱり、ヒルトンとの交渉によって、アトランタ・ヒルトンを使うという結論は「ピケを横切る」ことになるという批判意見が早速でてきました。AAAUniteってブログも早速作られたようです。

NOW、大統領選挙と同性婚問題

2004-10-22 09:07:36 | フェミニズム
昨日、大学のGender Studies Centerにて、NOW (National Organization for Women)のシカゴ支部の人たちが、大統領選挙関連の話をするというので行ってみました。

NOWというと、1960年代に設立され、アメリカで最大といわれる女性団体。
サイトによれば、会員は50万人、550の支部を抱えているとか。

60年代設立であり、ある意味最も「主流」をいっている女性団体ということで、勝手に「年輩のメンバーが多いに違いない」と思って行ったのですが、予想に反して、昨日来ていた5人のNOWシカゴ支部の人たちは若手も若手、20代が中心でした。大学に来たメンバーが若いのかなと思って、そのうちの一人に「若くてびっくりした」と伝えたら、「そう、うちの支部は若いのよ。」とのこと。支部によって年齢層なども違うが、national headquarterに行くとたぶん50代かそれ以上が中心だと思う、とのことでした。

プレゼンしていた一人の20代と思われる女性(もちろんアメリカ人)は、かの有名な初代代表、ベティ・フリーダンの名字の発音を知らないようだったのも驚き。フリーダン、なんて名前も、地域レベルの若手活動家にとっては「歴史」上の人物で、通常話題にもならないってことなんでしょうかねえ。

話した女性も、地域の支部での活動を続け、将来40代くらいになったら、national headquarterのほうに行けたらいいなと思っているとのこと。企業みたいに、本社異動の昇進システムみたいな感じなのかしら。

シカゴ支部の活動内容についての話が中心で、まあやっぱりNOWの限界というか、健康、暴力、労働など、政治的にある意味「安全」な課題が中心、戦争問題についての取り組みは弱く、軍については米軍における女性への性暴力や、健康問題に取り組みが集中している感じではありました。

ひとつ驚いたのは、今回の選挙でNOWはケリー支持の立場を表明していないらしいということ。NOWの立場として、同性婚を支持しない候補は支持できない、ということからそうなっているらしい。ブッシュはすべて反対しているからもちろんのこと、ケリーも同性間の結婚に準ずるシビル・ユニオンは支持しても、同性婚は反対とか言っているからなあ。LGBT (Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender)問題にコミットしているNOWなのでそのような立場をとる、との説明でした。(だったらネーダー、というチョイスになりそうだが、ネーダーへの支持も表明していないっぽい。)NOWの本部のサイトを見ても、今年にはいって候補が確定以来、特定候補のendorsementのニュースは見あたりません。

うーん、確かに正論かもしれず、立場は理解できるけど、、でも、今回ブッシュが勝ってしまったら、女性にはますます大変な事態になってしまうわけで。このアメリカ女性運動の主流中の主流という印象の強いNOWが、選挙でケリー支持を打ち出さないとは。巨大団体ということで、影響力は大きいだろうに。

ケリー苦戦の状態、こんなところにも原因があるのでしょうか。民主党の、政治的中間層やちょっとだけ保守派といった層のとりこみを狙ったと思われる、中途半端な政策がマイナスに作用しているのか、それとも単にNOWの政治問題への取り組みが弱いのか・・?

結局、本来、選挙に関する話をするはずだったNOWシカゴ支部のプレゼンだったのに、ほとんど選挙の話はないままに・・ほとんど、たいした取り組みができていないのかも。