◎末松太平事務所(二・二六事件異聞)◎ 

末松太平(1905~1993)。
陸軍士官学校(39期)卒。陸軍大尉。二・二六事件に連座。禁錮4年&免官。

渋川明雄様の「研究テーマ」(その2)

2009年04月22日 | 今泉章利
以下は、4月11日に渋川さんからお送りいただいたものです。

私の研究テーマは、「澁川善助と昭和維新運動そして二・二六事件」です。
二・二六事件について善助さんは、憲兵による第一回訊問調書で、「今度の事でも、其遠因近因とか言って分けて考えるべきものではありません。斯くの如く分けて考えるのは、第三者たる歴史家の態度でありまして、当事者たる私には説明の出来ないものであります。相澤中佐が永田中将を刺殺して後、台湾に行くと云ったのは全くこれと同じで絶対の境地であります」と言います。
また、池田俊彦さんは「生きている二・二六」の序章で「いま現代史を研究する人々、歴史家や評論家は、明治以来、今日に到る日本の歩んできた道を様々な角度から研究し、これに対して意義づけをしている。そして大東亜戦争を日本を亡ぼした悪として意義づけ、二・二六事件も、戦争に到る一段階として、その歴史的意味を見出そうとしている。これ等の人々の著書は、事件に悪意を抱く人も、好意を持つ人も、知り得る限りの資料を集めて様々な角度から論評しているけれども、真の歴史的意義を理解しようとせず、また渦中の人々の個々の真情を汲みとっていないように思われる。事実に対する分析も多くは表面的で、内面の肝心な観察に欠けているように思われてならない。
憲兵隊が作成したと称せられる裁判の法廷の記録も、事実ではあっても単に事実の羅列であって、陳述の真意を理解していないようである。
私はいままでに書かれたものが間違っているなどと言う気持ちは毛頭ない。唯、私の事件に対する感触は若干違ったものがあるが、それは私があの人達と生命をかけてやった事件であり、是非善悪を超えた魂の結びつきがあるからである。
老境にさしかかったいま、私は熱い思いを、あの過ぎ去った日々に投げかけている」と、言います。
二人の言っていることを重ね合わせると、遠因近因とか分けて考えるのではなく、表面的な事実分析で終わることなく、内面を観察し、個々の真情を汲みとることによって、是非善悪を超えた絶対の境地での魂の結びつきを分析していく。ということになると思うが、その中の要素、主観と客観、同調、統合、整合。
善助さん自身、説明のできないものと言っているから、難しいなあ・・・・。
竹山護夫氏の論文、興味ありますので早速「史学雑誌」第78編第6号、7号、第82編第1号、「日本のファシズム」「近代日本政治思想史」の5冊を購入発注いたしました。届いたらじっくり読みたいと思います。が、今泉さんと違い、もともと理解力に乏しいところに年齢を重ねて低下してきたので、本についていけるかどうか。

以上渋川様の4月11日の投稿でした。
(今泉章利)

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