渋川善助が、「断じて検察官の予審請求理由の如きものには非ざるなり」と言う「予審請求」の内容とは。
二・二六事件の捜査報告書の送付を受け、昭和十一年三月八日に、検察官陸軍法務官匂坂春平が陸軍大臣川島義之に対し「捜査報告書進達」を為し、予審を請求すべきものと思料するとした。同日、匂坂春平から予審官に対して「予審請求」が提出された。その内容は、次の通りである。
犯罪事実
第一 被告人等は我国現下の情勢を目して重臣、軍閥、財閥、官僚、政党等が国体の本義を忘れ私権自恣、苟且とう安を 事とし国政を紊り国威を失墜せしめ、為に内外共に真に重大危局に直面せるものと断じ、速に政治並経済機構を変革 し庶政を更新せんことを企図し、屡々各所に会合して之が実行に関する計画を進め、相団結して私に兵力を用い内閣 総理大臣官邸等を襲撃し内閣総理大臣岡田啓介、其の他の重臣、顕官を殺害し、武力を以て枢要中央官庁等を占拠し 公然国権に反抗すると共に、帝都を動乱化せしめて之を戒厳令下に導き、其の意図に即する新政府を樹立し、以て其 企図を達成せんことを謀り、昭和十一年二月二十六日午前五時を期して事を挙ぐるに決し、各自の任務及部署を定め たり。(以下各被告人の犯罪事実)
二・二六事件の捜査報告書の送付を受け、昭和十一年三月八日に、検察官陸軍法務官匂坂春平が陸軍大臣川島義之に対し「捜査報告書進達」を為し、予審を請求すべきものと思料するとした。同日、匂坂春平から予審官に対して「予審請求」が提出された。その内容は、次の通りである。
犯罪事実
第一 被告人等は我国現下の情勢を目して重臣、軍閥、財閥、官僚、政党等が国体の本義を忘れ私権自恣、苟且とう安を 事とし国政を紊り国威を失墜せしめ、為に内外共に真に重大危局に直面せるものと断じ、速に政治並経済機構を変革 し庶政を更新せんことを企図し、屡々各所に会合して之が実行に関する計画を進め、相団結して私に兵力を用い内閣 総理大臣官邸等を襲撃し内閣総理大臣岡田啓介、其の他の重臣、顕官を殺害し、武力を以て枢要中央官庁等を占拠し 公然国権に反抗すると共に、帝都を動乱化せしめて之を戒厳令下に導き、其の意図に即する新政府を樹立し、以て其 企図を達成せんことを謀り、昭和十一年二月二十六日午前五時を期して事を挙ぐるに決し、各自の任務及部署を定め たり。(以下各被告人の犯罪事実)