がじゅまるの樹の下で。

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ミュージカル尚寧王

2018年01月31日 | ・琉球/沖縄、徒然日記

ミュージカル尚寧王

2017年1月27日(土)

浦添市てだこホール

 

久しぶりに、
それこそ数年ぶりに浦添の舞台を観に行ってきました。

前回見たのはアオリヤエのほうが主人公で、
しかもオペラだった時
(数回見てますが、最後に見たのは記事にはありません)

同じ尚寧王・アオリヤエ夫婦をテーマにしながらも
今回はミュージカルという別作品として
初めて見させていただきました。

出演者は小学生から一般まで幅広く。
これは浦添の舞台の特徴(色)の一つかもしれませんね)

 

物語は
尚寧王がイレギュラーで浦添尚家から王となり、
道(安波茶橋)を作り、
民に愛され、
アオリヤエとも仲良くやっている最中、
薩摩侵攻の苦難を受け…
というもの。

ストーリーテーラーは玉城朝薫。
戯曲作りのため浦添を訪れ、
そこである老婆に出会い、
忘れ去られた王、尚寧王について語ってゆく…
という流れでした。

 

ミュージカルなので、
舞台の核はやっぱり音楽!(とワタシは思っている)

曲(音・歌)の雰囲気は
凝ったリズムやメロディーというよりも
オーソドックスな感じ。

そんな曲の雰囲気や、
暴力を見せない舞台演出(薩摩侵攻や謝名処刑シーンとか)、
コミカルなキャラクター設定など、
舞台全体の印象は子供向けのファミリーミュージカル
のような感じだったかな。

尚寧やアオリヤエも表情豊かに元気ハツラツで
歌のお兄さん、お姉さんって雰囲気でした。
舞台化粧も特になく、みんなナチュラルだったし。

 

(そしてやっぱりミュージカルはミュージカルで、
現代版組踊は全然ミュージカルではないと改めて確信しました)



劇中にも出てきた安波茶橋


赤皿ガーのエッセンスもしっかり入ってました☆

 

尚寧は薩摩侵攻の危機に対しても
割とあっけらかんと飄々としてて
「琉球が勝てるわけない」
「負け方を考えるのだ」
っていうスタンスで、
薩摩兵が大通りを行くように誘導したり、
薩摩侵攻後の琉球の在り方について前もって徳川に
自らアプローチする…というのが新鮮でした。

尚寧王が整備した道は薩摩軍の侵入をしやすくしたとも言われていますし


結局はグスクや村々は焼かれ、
悲惨な結果となり、
尚寧一行は薩摩へと連行されるわけですが、

その本土滞在中に起こる弟・尚宏の病死や、
謝名親方の処刑が描かれたのも
オペラにはなかったので良かったです。

(斬首シーンは…舞台後方でシルエットでもあったし
ちゃんと刀振り下ろしてしてほしかったけど…
ここはファミリーミュージカル的にはNGだったのか…)

 

でも薩摩侵攻に際してもあれだけ飄々としてた尚寧が
琉球を離れたとたん急にシリアスになるもんだから
キャラが変わったみたいでちょっと違和感あったな…。

確かに苦悩をアピールしないといけないところだけど、
度重なる苦労に次第に…って感じが出たら、
もしくは、人前では飄々とふるまってはいたけれど
実は裏では(アオリヤエの前では)悩み苦しんでいて…
とかだったら同一人物としてもっと自然に見れたかも。

 

最後に尚寧が死ぬシーンは1番印象的でした。
民に愛されてたっていうのがすごい伝わった。
そこに悲壮感はなくて、
苦労はしただろうけど最期は幸せだっただろうなと感じました。

病床の尚寧に、
"民の色に染めた"という布を、
アオリヤエが尚寧の膝に掛けて語りかけるんだけど、
その布(民)に覆われたまま尚寧が逝けばもっと良かったな。
(なぜか、尚寧がその布を取ってアオリヤエに返しちゃってたので) 

 

+ + +

 

ところで。
実はこの舞台、冒頭の演出で私すっかり心乱されてしまいまして。

それがずっと引きずった、と言っても過言ではありません。

 

それはオギヤカの陰謀が次々と繰り広げられるシーン。
(物語はオペラの時と同様、オギヤカは絶対悪(^^;))

 

幕開け。

何やら騒がしいBGM。

舞台上に陣羽織の男。

 

おおっ?薩摩侵攻のシーンからスタートか?
と思いきや。

 

陣羽織姿はなぜか金丸。

どこかへ行く金丸。

金丸がいなくなったとたん隣の女を刺す(?殴った?)オギヤカ。

それを見ていた尚宣威が叫ぶ。

「姉上!姉上ー!」

高笑いのオギヤカ。これで金丸様の妻は私よ!

 

 

はい、ここまで読んで、

「えっ!!???」って思った方いませんか!?

「ん?何が?」と思った方もいるかもね。

あなたはどっち?

 

 

はい、私、前者です。

 

 

姉上って何!?

へ?!尚宣威に姉がいた!?

尚宣威の姉が金丸の妻、
ってことは尚宣威と金丸は兄弟じゃなかったとか!?

え!?どーゆーこと?!

どーゆー設定!?!??

 

 

まさかのトンデモ爆弾!?と大混乱。

 

物語上のフィクション設定!?と思いきや
それについては一切回収されず、
舞台が終わっても「???」は増すばかり…。

 

はい。

 

ここまで読んで、
気づいた方いますか?

 

 

わたし、一晩たって、
翌朝、やっと気づきましたよ。

 

 

 

姉上って…

 

 

 あ  ね  うえ
義姉上か!!

 

そ…そりゃあ、金丸(兄)の妻がオギヤカにやられた時に
尚宣威に何か叫ばせるとしたら「義姉上」以外ないわな。

でも舞台上の音声では単なる「あねうえ」なわけで…。

 

全然思い至らなかった…

 

はい。
トンデモ爆弾でも何でもなかったですね。

 

ちなみにオギヤカが金丸の元妻を抹消した
ということに関してはあり得ると思ってるので
そこは特に、はい。

それよりも陣羽織姿の金丸と
あれがどういうシチュエーションで
彼がどこに行ったのかが気になりました。
(聞き逃しただけかもしれないけど…)

「姉上」に全部意識持っていかれけどね…。

 

姉上爆弾で混乱したまま、
冒頭のオギヤカの陰謀は息つく間もなく
尚円の即位、
尚宣威の追放、
尚真の即位、
華后との結託、
尚維衡の追放と
(玉陵の碑文もだったかな)
一気に繰り広げられたので…

歴史を知ってる私にとっても
ついていくので必死でした…

これ、一般の人はついていけたんだろうか…。

それともとりあえずオギヤカ悪が印象付けられれば
いいということなのかな…。

 

うーん、
とりあえず、パンフレットの相関図を
もっと丁寧に作ってもらえたらなと思いました。

人名にはちゃんとルビもいれて。

勘なる王の家系図だけじゃなくて。
舞台の登場人物と関係性を示した相関図もあると分かりやすい。
朝明(尚宣威の子孫…でよかったかな?)とか
老婆とかもちゃんと相関図に入れて。
顔写真やイラストがあるとなおよし。

歴史劇って名前は難しいし似てるの多いし
関係性は複雑だし、
分かりやすく理解してもらうための
こういうパンフレットの役割って大きいと思います。

だから、
トピック(章)ごとにあらすじ紹介があったり、
できればメインの唄の歌詞があったりすると
もっとよかったです。


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