がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

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『琉宮城の姫君』でたどる宜野湾・総喜呂原

2019年12月01日 | ・和心な本、琉球な本

先日、松本清張賞受賞者で
沖縄の歴史を取り入れた小説を書かれている
滝沢志郎さんと川越宗一さんを迎えての
トークショーがありました。

川越さんの『天地に燦たり』は
過去にレビュー記事も書いているのですが
滝沢さんのはまだだったので、
今日はこちらについて。

といっても、
松本清張賞受賞作で鹿鳴館を舞台にしている『明治乙女物語』ではなく、
滝沢さんの最新作で近代沖縄を舞台にした小説
『琉宮城の姫君』のほうを。

 

 

 

雑誌「小説すばる」10月号に掲載された読み切り中編小説です。
(今はもう店頭にはもうないので、気になった方は図書館で☆)

 

主人公は、
沖縄に図画教師として赴任してきた吉永光太郎。
教え子の高良倫子の家に伝わる”宝”さがしを、
同僚の女教師・渡名喜千代と供に手伝うことになり…

という物語。

 

物語の舞台は大正時代の沖縄ですが
”宝”のルーツは王国時代にさかのぼり、

大正時代の風景と、
王国時代の歴史的背景とがミックスされた
ちょっと新鮮な世界観。

 

小説や漫画や舞台など、
創作物を通して歴史にふれると
その時代や人をより身近に感じることができるため、

まだまだ層が薄い「近代沖縄」(王国解体後から沖縄戦までの時代)を舞台にした
創作物がでないかな~と願っていたので、

『琉宮城の姫君』は
まさにドンピシャ!待ってました!!の作品でした。

(トークショーでも滝沢さんがふれていた、
琉球沖縄の歴史は、王国時代からいきなり沖縄戦に飛んでいる、という話、納得)


物語に描かれた大正時代の沖縄の風景や人々の営み、
”宝”にまつわる王国時代の話や、
まさに”宝”のことなど、
取り上げたい部分は色々あるのですが、

 

今回私が気になったのは、

 

”宝”さがしの舞台となった


「宜野湾・総喜呂原」について。

 

これって、今のどこだろう??

もしかして、基地内??

 

と思い立ちまして…

 

 

久々に宜野湾市立博物館にGO!

 

 

もともと見る予定だった企画展を見て、
一昨年リニューアルされた常設展を見学していると…

 

 

…はっ!!!!

 

 

「う そけろ原」の印部石の写真がある!!

※撮影許可はもらいましたが、展示物そのものなので大きく掲載するのは控えます。
しっかり見たい方はぜひ宜野湾市立博物館へ★

 

え、これって創作じゃなくて、マジであったんだ!!

 

う~~~ん
こういうのに出会った時って
シビレますよね~~~

 

 

総喜呂原については
学芸員さんに尋ねてみると、
現在の「赤道」エリアだということが判明。

 

今は住宅街だけど…
印部石、あるのか!?

 

そうこうしながら、
得たキーワードを元にググったりしてると…

 

普天間飛行場から印部石 宜野湾市教委
(沖縄タイムス2014.9)


…!!!

 

やっぱり基地内だ!!



宜野湾市立博物館でいただいた文化財マップで
赤道シキロー」の場所を確認し、

 

 

行ってきたの図。

 

フェンスの向こうが普天間基地。

地形図をみると写真右手側のほうが低くになっているよう。

 

なるほど、ここが……。

 

主人公らが普天満宮から宜野湾並松街道を通って
ここ「赤道シキロー」までやってきた、
その道のりに思いを馳せる…。

 

妄想トリップが得意な福耳さん(琉球歴女の会幹部)とは違って
光太郎たちの声は聞こえなかったけど…(笑)

 

 

…となると、

そこから南西200メートルほど離れた場所…

 

 

写真でいうと太陽の下の丘あたりか?
(写真、逆光ですみません

 

文化財マップでは
「赤道渡呂寒原屋取古集落」
となっていました。

 

 

というわけで、

小説を通して、新たな史跡を知ることができ、
総喜呂原(赤道)も私にとって特別な場所となりました。

こういう体験がもっとしたい。

 

トークショーでの滝沢さん談によると
今後も「小説すばる」で近代沖縄の話を書いていくようなので、
とっても楽しみです

 

 

ところで、
今回お世話になった宜野湾市立博物館では
現在、企画展『変わりゆく街並み~西普天間の移り変わり~』を開催中!

 

 

普天満宮の裏側、
普天間基地内の「西普天間」エリアの発掘成果について。

 

基地内の文化財とか、基地で消えた集落とか、
そういうのに興味があります。

去年RBC SF・ファンタジー大賞を受賞した
「タクシーの花子さん」の大工廻(だくじゃく)もそうだし…。

 

土日限定で、
「フトゥキャアブ」や「イシジャー」のVRも体験できます。

 

常設展もおすすめ。

「う そけろ原」の印部石写真だけでなく、
宜野湾並松街道の様子(写真、地図、模型)など、
『琉宮城の姫君』の一端に触れることができますよ。

 

入場無料です♪


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