寒い。
凍えるくらい寒い土曜日の朝。
街にはかなりの雪が積もっている。この街も、ようやく冬本番の様相を呈してきた。
凍った白い雪道は、ツルツルになっていて、一昨日の夜など不覚にも横転してしまったほどだ。しばらく左腕が痛んだ。
たぶん、今週から来週、それから来月の上旬ぐらいまでが真冬のどん底だろう。
でも、豪雪というわけではなくて、平年並みか、それ以下の積雪量という感じではあるけれど。
車を出して、地吹雪舞う街を抜け、郊外の「青森県立美術館」まで。
「青森県立美術館」で開催されている「小島一郎 北を撮る」に行くためだ。
美術館の駐車場に車を停め、そこから雪混じりの吹き荒ぶ突風に抗うようにゲートまでの道を歩く。
雪がこびり付いて、全身が真っ白になってしまった。
入場料800円を払って、いよいよ会場内に入る。
あいにくの天気なのか、人は疎らだ。
僕は、小島一郎の写真から受けたその衝撃たるや凄まじく、言葉にして表すことなど不可能に近い。
最初に見た「つがる市 稲垣付近」1960年という写真は、余りの衝撃で、ほんと、暫くの間、言葉を失い唖然としてしまった。
その写真の拡大版が入口の真ん中にどーんと飾られている。
何回見ても、新しい発見がこの写真にはある。
4人の女性が、真冬の雪道を歩いているその後姿を撮っている。
頭上には、重そうな雲間から今にも消え去りそうな白色の太陽がほんやりと映っている。
老婆なのか中年なのか4人の村人の顔は判らないけれど、厳寒の凍える白い一本道を、まるで厳しく暗鬱な冬に向かって挑むように、抗うように、背中を少し丸めながら歩いている。
津軽。
厳寒の風土。
冬に閉ざされた場所。
すべての原点、僕にとってのあらゆる思考の源、思考形成の核、それは、小島一郎の写真の中に投影されていると言い切っても過言ではない。
そして今回、改めて衝撃を受けた写真が、五所川原市十三「夕暮れ」という作品だ。
これも白黒の写真で、五所川原にあった映画館なのだろう、朽ちそうな木造の小屋に剥げかけたポスターが貼ってあって、その映画館前の夕暮れ近い道を女性が独り歩いている。ただ、それだけの構図である。
しかし、その奥底に見えてくるのは、北の大地から醗酵するヒリヒリとした冷気であり、孤独であり、怨念であり、死のような気配であり、何か人間の奥深くに宿っている、厳寒の風土からのみ生まれる氷のような意志である。
圧倒的な作品の数々を見終え、県美のM課長としばしの雑談。
わざわざ丁寧に出口玄関まで見送っていただいた。
外は、まだ凍えるような寒さに身をよじっている。
憂鬱な空から絶え間なく雪が落ちて来た。
それにしても小島一郎。
すごい。
凍えるくらい寒い土曜日の朝。
街にはかなりの雪が積もっている。この街も、ようやく冬本番の様相を呈してきた。
凍った白い雪道は、ツルツルになっていて、一昨日の夜など不覚にも横転してしまったほどだ。しばらく左腕が痛んだ。
たぶん、今週から来週、それから来月の上旬ぐらいまでが真冬のどん底だろう。
でも、豪雪というわけではなくて、平年並みか、それ以下の積雪量という感じではあるけれど。
車を出して、地吹雪舞う街を抜け、郊外の「青森県立美術館」まで。
「青森県立美術館」で開催されている「小島一郎 北を撮る」に行くためだ。
美術館の駐車場に車を停め、そこから雪混じりの吹き荒ぶ突風に抗うようにゲートまでの道を歩く。
雪がこびり付いて、全身が真っ白になってしまった。
入場料800円を払って、いよいよ会場内に入る。
あいにくの天気なのか、人は疎らだ。
僕は、小島一郎の写真から受けたその衝撃たるや凄まじく、言葉にして表すことなど不可能に近い。
最初に見た「つがる市 稲垣付近」1960年という写真は、余りの衝撃で、ほんと、暫くの間、言葉を失い唖然としてしまった。
その写真の拡大版が入口の真ん中にどーんと飾られている。
何回見ても、新しい発見がこの写真にはある。
4人の女性が、真冬の雪道を歩いているその後姿を撮っている。
頭上には、重そうな雲間から今にも消え去りそうな白色の太陽がほんやりと映っている。
老婆なのか中年なのか4人の村人の顔は判らないけれど、厳寒の凍える白い一本道を、まるで厳しく暗鬱な冬に向かって挑むように、抗うように、背中を少し丸めながら歩いている。
津軽。
厳寒の風土。
冬に閉ざされた場所。
すべての原点、僕にとってのあらゆる思考の源、思考形成の核、それは、小島一郎の写真の中に投影されていると言い切っても過言ではない。
そして今回、改めて衝撃を受けた写真が、五所川原市十三「夕暮れ」という作品だ。
これも白黒の写真で、五所川原にあった映画館なのだろう、朽ちそうな木造の小屋に剥げかけたポスターが貼ってあって、その映画館前の夕暮れ近い道を女性が独り歩いている。ただ、それだけの構図である。
しかし、その奥底に見えてくるのは、北の大地から醗酵するヒリヒリとした冷気であり、孤独であり、怨念であり、死のような気配であり、何か人間の奥深くに宿っている、厳寒の風土からのみ生まれる氷のような意志である。
圧倒的な作品の数々を見終え、県美のM課長としばしの雑談。
わざわざ丁寧に出口玄関まで見送っていただいた。
外は、まだ凍えるような寒さに身をよじっている。
憂鬱な空から絶え間なく雪が落ちて来た。
それにしても小島一郎。
すごい。