淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

山田太一11年ぶりの連ドラ、フジTV「ありふれた奇跡」は期待どおりの素晴らしさ。

2009年01月15日 | Weblog
 ドラマ「ふぞろいの林檎たち」や「岸辺のアルバム」の脚本で数々の賞に輝き、現時点で倉本聡と双璧をなす大脚本家、山田太一。
 その山田太一が、なんと11年ぶりに書いたテレビドラマ「ありふれた奇跡」が、遂にフジテレビ系で木曜日夜10時から始まった。

 このことは、今期テレビドラマの中で最も話題になったというだけではなく、ここ数年間におけるテレビドラマ界でも一、二を争う出来事だろう。
 それに、多分今回の脚本執筆が、山田太一にとって最後の仕事になるのではないか。
 雑誌等での彼のインタビュー記事を読むと、彼がもうテレビドラマの世界に懐疑心のような感情を抱いているのが垣間見えてくる。
 なので、今回のドラマ「ありふれた奇跡」だけは、心して観ないと悔いが残りそうだ。

 物語はまだ序盤なので、全体像はまだ見えないけれど、導入部はこうだ。
 ある日、駅のホームで自殺しようと佇んでいる中年男を救うことになった一組の若い男女。
 しかしそれは、たまたまその場所に偶然居合わせただけで、列車に飛び込もうとした中年男性を咄嗟に突き飛ばして救出したのだが、男性は警察で、死ぬつもりなどまったくなかったと主張し、逆に偶然命を救ったふたりを強く非難する。

 助けたふたりは、何故その中年男性が死のうとしていると感じたのか?
 死のうとした中年男性は、何故、警察で嘘の証言をしてしまったのか?

 ドラマはこれだけではなく、主要な登場人物たちが、何か人に言えない苦悩と過去を持っているということを暗に仄めかしてゆく・・・。

 主演の仲間由紀恵と加瀬亮、それから自殺をしようとしていた中年男性に陣内孝則、加瀬亮の父親に風間杜夫、仲間由紀恵の父親が岸部一徳、その母が八千草薫。
 
 とにかく、セリフが素晴らしい。
 飛び交う会話の絶妙な間、言いよどんだり躊躇ったりするときの間合いの妙、言葉が途切れる場面での何とも言えない空気の取り具合・・・すべてが巧い。

 それに、各人が持っているであろう、その秘密の提示の仕方がとても上手なので、次の展開が楽しみになるのである。
 本当に、視聴者を惹き付ける。

 このドラマ、基本的に仲間由紀恵と加瀬亮の恋愛模様を主軸に進んではゆくのだろうが、山田太一がそんな単純な物語を紡ぐわけがない。
 もっと複雑な物語となって展開されるに違いないし、決して単純なラブストーリーに終始するわけもない。
 骨太で手ごたえのある人間ドラマになるのではないか。

 「ありふれた奇跡」、最近のドラマの中でも、異質で、しかも今後に語り継がれるドラマになることは多分間違いないだろう。




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