「 １月 ２日」金曜日晴れ

　東京も今日が最後だ。
　一週間、あっという間に過ぎ去ってしまった。
　街を徘徊し、本を読み、ＣＤウォークマンで音楽を聴き、お酒を飲んだ。携帯電話を持たないって、こんなに自由だったんだ。家に帰って、携帯履歴を見たくない。

　新宿と銀座に出た。
　電車はがらんとしている。お正月の２日目、まだみんな家でのんびりしているのだろう。
　原宿駅では、明治神宮に行く参拝客たちだろう、そこでどっと人が降りる。

　銀座のＨ＆Ｍは大行列。お正月風景を映そうとテレビ中継も出ているみたいで、ここは素通りする。
　三越デパートも凄い人出だけれど、福袋は売れ残っているようにも見える。

　太陽の光が眩しくて、電車の中で目を閉じる。ビル群の硝子に太陽が反射している。
　ＣＤウォークマンで「トーチャード　ソウル」を聴く。明るい日差しに包まれる世界。音楽が周りの世界を一変させる。

　私鉄沿線の駅に降りた。
　シャッターが閉まった駅前商店街のロータリー近くの「ケンタッキー・フライドチキン」が空いていたので、がらんとしている２階席の外が望めるテーブルに座って珈琲を啜った。

　午後２時過ぎの小さな街の駅前通り。
　ロータリーの街路樹が微風に揺れている。西日が２階のフロアいっぱいに差し込んでいて、爽やかな青い空が覆っている。

　また明日から青森での生活が始まる。
　雪は凄いのだろうか？　新聞の天気欄を見ると雪マークが続いているようだけれど。
　こうして、ささやかなイヴェントが一つ終わり、僕も一つ歳をとる。時間は無言のままで、非情にも時間を同じ速度で刻んでゆく・・・。

　夜８時過ぎの東北新幹線。
　都心に向かう新幹線は明日辺りから大混雑するのだろうが、都心から北に向かう最終の新幹線は空いていて空席も目立つ。
　仙台、盛岡を過ぎると、乗っている人もだいぶ減った。雪もない。

　八戸駅に着いたのが夜の１１時過ぎ。
　雪が少しだけ残っている。
　新幹線から青森駅行きの特急列車に乗り換えた。八戸バイパスが車窓から見えた。通り過ぎる車の数も少ないようだ。
　青森駅に列車が滑り込んだら、時計は１２時を少し回っていた。

　思ったほど雪がない。
　大きなバッグを担ぎ、そのまま駅前のアウガ前に備え付けてある図書館のボックス返却口に借りていた本を４冊投げ込み、そのまま家へと帰った。

　あっという間の一週間だった。
　またこの街での生活が始まってゆく。

　凄く苦しいけど、でも負けねえぞ。