淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

1976年に制作された映画「犬神家の一族」のリメイクは、91歳になる市川崑監督がまたまたメガホン!

2006年12月16日 | Weblog
 岩井俊二がドキュメンタリー映画「市川崑物語」を完成させ、現在、首都圏で上映されているけれど、市川崑、何と91歳になるらしい。
 その市川崑が、自ら監督を引き受けて撮った映画「犬神家の一族」を観た。

 僕が最初の「犬神家の一族」を観たのは、日比谷の映画館だった。
 現在「シャンテ・シネ」がある、その斜め向かい側にあった映画館で、今はもうない。
 確か上映初日で、連日、角川書店がマス・メディアを使った大規模な宣伝を行い、いわゆる映画と書籍とのコラボレーションが上手く繰り広げられていたように思う。

 とにかく物凄い混雑だったことを覚えている。
 確か僕は二階席で、それも立ったまま観た記憶がある。それほど映画は混んでいた。
 市川崑監督の「犬神家の一族」は、その年の邦画ベストテンにも選ばれ、映画自体の評価もすこぶる高かったのである。

 そして、今日、12月16日から全国一斉に封切られたリメイク版「犬神家の一族」。
 主演の金田一耕助には前作に引き続いて石坂浩二。等々力警部も前作と同じく加藤武と、懐かしさが込み上げる。
 あとは、松嶋菜々子に、富司純子に松坂慶子。それから、中村敦夫に仲代達矢と、大御所たちがずらりと顔を並べている。

 しかし。
 映画館は寂しい入りだった。
 僕のほかに十数人。初日にしてはちょっとキツイかもしれない。
 角川映画の第1回作品として76年に製作され大ヒットした横溝正史原作ミステリーである「犬神家の一族」としてのブランド力を考えると、やっぱり何とも言えない悲しさが募る。

 ストーリーは、まったくオリジナル版と同じ。
 犬神家の一族に遺された巨額の財産を巡って殺人事件が発生し、その解決に乗り出した名探偵金田一耕助が、事件の真相を明らかにしていくという内容になっている。

 信州の犬神財閥の創始者である犬神佐兵衛が永眠する。
 佐兵衛には腹違いの3人の娘、松子、竹子、梅子がいて、それぞれに佐清、佐武、佐智という息子がいる。さらに、犬神家の屋敷には佐兵衛の恩人の孫娘である野々宮珠世という美しい女性も住んでいた。全員が固唾をのんで見守るなか公開された遺言状には、「佐清、佐武、佐智のいずれかとの結婚を条件に、犬神家の全財産を珠世に譲渡する」と記されていた。

 この事態に、一族の間で血で血を洗う惨劇が繰り広げられてゆくことになる。そして、事件の調査を開始した名探偵の金田一耕助は、次第に犬神家の血の系譜の裏に隠された、ある大きな謎を解き明かしていくことになるのだが・・・。

 やっぱり、この映画が生み出した最大のキャラは、佐清(スケキヨ)だろう。このおぞましい仮面のキャラクターなくして「犬神家の一族」は存在しない。

 ただ、映画自体はオリジナル版を超えたものにはなっていない。
 何故、この時代にあえて「犬神家の一族」を作らなければならなかったのか、よく理解出来ないのである。単にリメイクして、再ヒットを狙っただけというのも、当然アリだけど・・・。

 でもなあ。この程度の出来栄えだと、あえて再映画化する意味なんてないんじゃない?
 悪いけど。




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