淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

筒井康隆原作の映画「時をかける少女」。話題になっただけはある。このアニメ凄くいいぞ!

2006年12月07日 | Weblog
 久しぶりに早めの帰宅。

 食事を済ませ、部屋に戻って床の上に大の字に寝転がったら、体がまるで鉛を抱いたように重くて、疲れが溢れ出る。
 ああ。このままゆっくりとお風呂にでも浸かって、冷たい缶ビールでも飲んで早めに寝ようかなあ。でもなあ。シネマ・ディクトでは、マスコミ等でかなり話題となったアニメ映画「時をかける少女」が一週間限定で上映されているし・・・。
 今夜8時からの上映を見逃したら、もう観ることが出来ない。明日と明後日は夜遅くまで会議が入っているから絶対無理だしなあ。
 で、疲労困憊の体に鞭打って、ジーパンに着替え、ゲチャゲチャになった雪道を映画館まで急ぐ。

 映画館は若者たちで満員状態。
 やっぱりこういうアニメって、オタクが多いんだよねえ。って、俺も一緒になって観てるんだけどさ。

 「時をかける少女」は、これまで何度も映像化されてきた筒井康隆の名作ジュブナイル小説(つまり、少年・少女ものっていう意味ね)を、初めてアニメ映画化したものである。
 認識が甘かったというか何というか、最初この「時をかける少女」がアニメ化されて全国上映されると聞いたとき、絶対にコケると、ヒットなんか絶対無理と断言していたものだ。
 だって、この小説はもう飽きるほど様々な媒体で展開されてきたわけだし、何で今更「時をかける少女」なわけ? そう思っていたのである。
 
 映画は、あるきっかけで、過去に遡ってやり直せる“タイムリープ”という能力を身につけたヒロインの淡い恋の行方と心の成長を綴ってゆく。
 監督が、「ONE PIECE ワンピース THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島」の細田守。
 そしてこの細田守監督。大化けした! 凄い監督だ。

 高校2年生の紺野真琴は、優等生の功介とちょっと不良な千昭と3人でいつもつるみ、仲良く野球ばかりしている女の子。
 ある日、理科準備室で、突然現れた人影に驚いて転倒する。その後まもなく、修復士をしている叔母のもとへ自転車で向かった真琴は、ブレーキの故障で踏切事故に遭ってしまうが、死んだと思った瞬間、何故か、その数秒手前で意識を取り戻してしまうのだ。その話を叔母にすると、それは「タイムリープ」といって年頃の女の子にはよくあることだと、冗談とも本気ともつかないような説明をされる。
 そしてそれから数日後、真琴は千昭から突然、愛の告白を受ける。3人の友だち関係がいつまでも続くと思い込んでいた彼女は、動揺のあまり、タイムリープをして告白そのものをなかったことにしてしまう。
 ところが・・・。

 確かに、映画の前半は、真琴とその周辺の生活を淡々と描いてゆく。
 初夏の太陽。真っ白な入道雲。美しい夕焼け時の帰り道。自転車の二人乗りにそよぐ風。グランドでの他愛無い会話。夏休み前の騒がしい学園生活。友達との友情。朝の光に輝く街。抜けるような青い空・・・。
 これらの描写が、美しく描かれる。

 そところが映画は、後半、思わぬ急展開を迎えることとなる。
 ネタバレになるので、もうこれ以上は書けないけれど、ファンタジーの要素を加えながらも、本質は「愛」、それも10代の青くて純粋な「愛」についての物語が、丁寧に語られてゆくのである。
 そして、中々見応えがある。一気にみせる。ストレートに。そして実直に。

 これじゃあ、評判になるはずだ。
 ジブリの作った「ゲド戦記」とほぼ同時期に首都圏公開されたらしいけれど(青森では今ですが)、評価自体は「時をかける少女」のほうがダントツに上だった。

 もしかして、これからずっと「語り継がれるアニメ」の一本として、僕たちの記憶の中に刻まれるかもしれないな。きっと。




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