淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

金城武主演、ピーター・チャン監督の映画「ウィンター・ソング」は、少し変わったラヴ・ストーリー。

2006年12月10日 | Weblog
 若い男と女が、激しい恋に落ちる。
 ふとしたことで出会った二人は、貧しいながらも満ち足りた生活を送る。そこには、不安の欠片すら見当たらない。何故なら、二人には若さが溢れているから。それから、ずっと続くはずの未来が開けているからにほかならない。

 男は、映画監督を目指して、ここ北京の町に降り立った。
 そして、女は貧困の中に生きながら、華やかな女優になることを夢見ている。
 そんな二人は、北京の寒い冬を、愛だけを共有しながら寄り添って生きてゆく。

 幸せな二人にも、やがて別れが訪れる。
 女は、女優になる夢を捨て去ることが出来ない。男は、愛のために映画監督になる夢を諦め、彼女との愛だけに生きようと決心した、その矢先のことだった。
 外は雪が降っている。
 男は女に、「ここで二人幸せに暮らそう」と叫ぶ。女はそれでもこの町を出て、華やかな女優の世界に飛び込んでゆくことに執着する。彼女は、愛する男より、未来の夢を選んだ。「誰でも、自分が一番可愛いの」と、最愛の人を振り切って。

 それから10年の歳月が流れるー。

 女は、夢が叶い、有名な女優として華やかな世界に君臨している。彼女には、愛する男性がいた。映画監督である。今回の新しいプロジェクトは、膨大な予算が投入されるミュージカル映画。その主演が彼女であり、恋人が演出をすることになったのだ。
 そして相手役に抜擢されたのは、現在、香港で活躍している有名男優、つまり、10年前に別れたその貧しい男性だったのである。

 報道関係者でごった返す記者会見場。
 華やかなスポットライトの中、3人のそれぞれの思惑が交差する。

 映画は、サーカスを舞台にした、記憶を無くした美しい女と、彼女の記憶を失う前の恋人だった若い旅人と、そしてサーカスの団長で彼女を深く愛する中年男性との、3人の愛憎劇として語られてゆく。
 それもすべて、ミュージカル仕立てで!

 香港で、今や押しも押されぬ有名男優になった男。彼は、いまだ10年前の彼女を忘れる事が出来ずにいる。彼は、一日たりとも彼女のことを忘れたことはない。ある意味、彼女との再会だけを夢見て生きてきたのだった。
 一方、彼女は、彼を冷たく突き放す。彼女にとって、今の愛がすべてなのだ。監督である彼との愛が・・・。
 そして、ミュージカルに挑む映画監督。彼は、薄々感じていた。彼女が自分の前から去ってゆくのではないかと。その感情が彼の心を掻き毟る。

 やがて、映画の撮影が始まってゆく。
 果たして、この愛はどのような結末を迎えるのか? ハッピー・エンド? はたまた悲劇?
 それは観てのお楽しみ。
 
 この映画は、「ラヴソング」「君さえいれば/金枝玉葉」のピーター・チャン監督が、「LOVERS」の金城武と「小さな中国のお針子」のジョウ・シュンを主演に迎えて贈る異色のミュージカル・ラブ・ストーリーである。
 
 現在と過去をバラバラに壊し、そこに劇中劇としてのミュージカルが挿入される。賛否両論があるだろうけれど、僕はこういう手法の映画は嫌いじゃない。

 でも、女はわからん。ますますわからん。





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「GETTING TO THE MOMENT!」

2006年12月10日 | Weblog
過ぎ去れるを追うことなかれ
いまだ来たらざるを念うことなかれ
過去、そはすでに捨てられたり
未来、そはいまだ到らざるなり
されば、ただ現在するところのものを
そのところにおいてよく観察すべし
揺ぐことなく、動ずることなく
そを見きわめ、そを実践すべし

ただ今日まさに作すべきことを熱心になせ
たれか明日死のあることを知らんや
まことに、かの死の大軍と
逢わずいうは、あることなし

よくかくのごとく見きわめたるものは
心をこめ、昼夜おこたることなく実践せん
かくのごときを、一夜賢者といい
また、心しずまれる者とはいうなり
              
『阿含経典 第五巻』



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