テルミンの彼方へ
宇宙とシェアする楽の音
 



敬愛なるベートーヴェン

ベートーヴェン:エド・ハリス
アンナ・ホルツ:ダイアン・クルーガー
監督:アニエスカ・ホランド

アンナ・ホルツは 架空の人物です。 第九初演4日前に 難航していた譜面作成の為に ベートーヴェンの元に使わされた写譜師 という設定です。 音楽学校の主席であるので 音楽を聴く耳は持っている。 野獣の様なベートーヴェンに対して 一歩も引けを取らず 堂々と渡り合い ベートーヴェンの楽譜の間違いまで 修正してしまいます。

二人の仕事の仕方は 殆ど 果たし合い というに近い緊張感。 神に啓示を受けたベートーヴェンと 神に触れた者に憧れるアンナ・ホルツ。

「音楽は 空気の振動だが 魂に語りかける。 それは 神の声だ! 」

このあたりの会話は パンフレットに書いてあるかな と思ったんですが 書いてなかった(>_<) 

迎える第九の初演で ベートーヴェンは 耳が聞こえないにも関わらず 指揮台に立つことを主張します。 ところが 本番寸前 耳が聞こえないので 指揮ができない 楽団をまとめられない と 子どもの様に怖じ気づいてしまっているベートーヴェンを アンナは 雄々しく勇気づける。「大丈夫です。わたしが 入りとテンポの合図を送ります。」 ここ ベートーヴェン かわいい~。 いつもは アンナに 意地悪を言ったり 殆ど セクハラまがいの嫌がらせで アンナを翻弄していたくせに。

そして アンナは ベートーヴェンの正面 オーケストラの中に座り込み 指揮の合図を送ります。

アンナ

ポスターでよく見ていた このポーズは オーケストラの中で ベートーヴェンに合図を送っている場面なのでした。

ここが 感動的で エド・ハリス よほど 指揮の勉強をしたんでしょうか。真に迫る指揮ぶりです。 先日までテレビでやっていたのだめ といい オーケストラのシーンが 延々と続くと 見ている方は 感動~(じ~ん☆) 強いて言えば ベートーヴェンが 指揮しながら アンナの方を伺う様なそぶりを見せるところは あれは 無い方がいい。 崇高なるベートーヴェンは アンナから テレパシーで 指揮の合図を送られるべきなのです。(と 監督に文句をつけても仕方ないですが)

第九の演奏シーンが 映画の中にある とは聞いていたので ここまでは予想していたのですが 映画がまだ中盤くらいで この演奏シーン。 あれ? そんなに短い映画なのかな? と思ったら まだまだ続くのでした。 第九の成功を頂点として その後 ベートーヴェンは 難解な新曲に取り組んでいく。

「内蔵をえぐる様な音楽を! 」

神に触れようとし 神の声を聞こうとした男。 宗教性のある音楽って いいなぁ と思う。 自分の 能力の 届かない存在を信じているかどうか というのは できあがった作品の精神性に 大きく影響する様な気がします。 自然の中を歩き回り 散歩中にも 曲は降ってくる。

いくつか 織り込まれる エピソード。

勇気をふりしぼって アンナが 自作の曲をベートーヴェンに見せたのに ベートーヴェンは 全くのデリカシー欠如人間 であるため アンナを傷つけてしまい アンナは 一度 ベートーヴェンの元を 去ります。 そのアンナを迎えに来た ベートーヴェン。 己のプライド投げ捨てて 跪いて 戻ってくれる様に頼む。 普段は あんなに 傲慢で 不遜で 自信満々で いやなヤツなのに。 ベートーヴェン かわいい~。 アンナ 強~い。
 
そんなこんなで ベートーヴェンは 弦楽四重奏の為の「大フーガ」の初演に たどりつく訳ですが これが 時期尚早 というところで 誰にも理解されない。 アンナでさえ 理解できない。

アンナが この曲を理解したのは ベートーヴェンの臨終の時でした。

第九の合唱。 いかにも年末。 どうぞ よい年をお迎えくださいませ。

DVD・映画)  コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« 「夜想耽美展... 『「日本のう... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。