60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

音読は理解力が落ちる

2006-10-26 22:42:26 | 文字を読む

 上図のような文章を音読してみたとします。
 たいていの人はどういう意味なのか分からないのではないでしょうか。
 分からないのでもういちど音読してもやはり分からないでしょう。
 この文章は理解しやすくするため意味単位ごとに行を変えてあるのですが、それでもなかなか意味が頭に入りにくいと思います。
 意味を理解しようとすれば途中で止めて考えたり、あるいは前の部分に戻ったりして意味のつながりをつかもうとしなければなりません。
 意味が分からなくても文字が読めれば音読できるので、前に進んでいくことはできるのですが、意味を理解しようとして考えるととまってしまいます。
 音読というのは音声化するのに脳を使う分意味をつかみとるのが、黙読に比べ難しくなります。

 複雑な構造の文章とか、読み手にとって内容が難しい文章を読むときはどうしても、途中で止まって考えたり、前にもどって読み返したりすることになります。
 速読法などでは途中でとまったり、前に戻ったりすることはスピードを落とす原因となるので禁物なのですが、これは大意をつかめばよいということで目的が速度になっています。
 音読も似たようなところがあり、一定のペースで前に読み進めるので、途中で考えたりすると声が止まってしまいます。

 上の文章の例では、黙読であれば「彼女の意図は(  )私に知らしめることである」と目でとらえることができるので間の(  )の意味を考えれば分かります。
 (  )の部分は「彼女が考えているのだという旨」でその内容は「もう家に帰る時間だということを私が考える」ということです。
 この文章を頭から読んでいって全体の意味をつかむというのは難しいのですが、文の並びを見ながら関係を考えれば理解は出来ます。
 
 音読をすると脳が活性化するというふうに言われていますが、音読をしたほうが意味の理解が困難になるので、そのぶん理解のために脳ががんばっているのかもしれません。 
 その結果疲労度も激しいので、ある程度少ない量でなければもちません。
 文章を読む目的が、内容の理解であるならばエネルギー効率からいっても黙読のほうが有利です。