図Aはなんに見えるでしょうか。
この絵は左を向いている顔だと思うとアヒルに見えますが、右を向いていると思うとウサギに見えます。
見方によって見え方が違う多義図形の例なのです。
この場合アヒルに見えるときはウサギには見えませんし、ウサギに見えるときはアヒルには見えません。
図BはAを二つ並べたものですが、二つとも左を向いていると思えばアヒルに、右を向いていると思えばウサギに見えます。
ところが左側をウサギ、右側をアヒルと見ることも出来るはずですし、左側をアヒル、右側をウサギと見ることも出来るはずです。
まず両方が向かい合っていると見れば左側がウサギ、右側がアヒルにみえるのですが、つい両方が同じ方向を向いているように見てしまいがちです。
片方づつ絵を見るときは左をウサギ、右をアヒルと見ることが出来るのですが、二つを同時に見たときは向かい合っているようには見にくいのです。
二つの絵は同じ絵なので別々の絵としてみることが難しいからなのですが、これは注意を分割するのが難しいということです。
しかし少し慣れてくれば、ウサギとアヒルが向かい合って話をしているように見えてきますから注意の分割が出来たことになります。
ところが左がアヒル、右がウサギと見ようとするとなかなかうまくいきません。
お互いが背をむけているように見なければならないのですが、アヒルと見るために左の図はクチバシのほうに注意を向ける必要があり、ウサギの場合は右の図のクチのほうに注意を向けなくてはなりません。
注意を向けなければならない場所が、向かい合っているとする場合に比べ、かなり離れてしまうのです。
その結果両方がが背を向けているように見るのはより難しいのです。
Cは立方体が右上を向いているように見えたり、左前方を向いているように見えるのですが、ひとつの見え方が持続することがなく、見ているうちに見え方が反転してもう一つの見え方に変わります。
二つの立方体を同時に見た場合、両方が同じ向きに見えて、見え方が変わるときもシンクロするのが自然です。
片方が左前方を向き、もう片方が右上を向いているように見ることは、出来ないことはないのですが、その見え方を維持することは出来ません。
注意を分割して見てもそれぞれの見え方が、安定しないで別の見え方に変わるので、同じ見え方が維持できないのです。
それでも見慣れて注意の分割が出来るようになると左の見え方と、右の見え方が別に見ることが出来るようになります。